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照明が暗くなった瞬間に流れる激しいイントロ。
その中またライトが照らされるとそこには今日の主役としくんの姿があった。
良かった…来てくれた……
姿を見れただけで嬉しくて泣きそう……
いやいや。今は泣いたらダメ。せっかくのライブを楽しまないと。
周りの人達はとしくんが登場してからコールが止まない。私もつい周りの勢いに乗って叫んだ。
『としくーん!!』
と「……ッ!!」
偶然なのか私ととしくんの目が合った。目が合った瞬間としくんは少し驚いた表情をしてたが、すぐに私に向かって笑顔を見せた。
としくん私に気づいてくれた……それだけでも満足なのにこれから大丈夫かな?心臓持つかな……
そんなのお構いなくとしくんは何曲も歌いボルテージが上がる。としくんも私も最高な気分だ。
そして曲の間にMCが入る。内容はやっぱりあの事だ。まだ起こってから日が浅く、頭の中整理出来てないのにとしくんは一つ一つ声に出してくれた。
周りの人達はとしくんの話を聞いて涙を流していて、私も気がつけばまた涙を流してた。
この数日間の辛さがここで爆発したかの様な気持ち……拭っても拭っても涙が止まらない。
と「俺は皆がそんな顔をさせる為にライブに来たんじゃない。皆の笑顔をさせる為に来たんだ。俺はお前達の味方だから!!」
『……ッ!!』
そうだ。としくんと約束したんだ。だからこんなとこでメソメソしてたらダメだ。
私は涙を拭いまた彼に向かって叫んだ。
『としくーん!!』
狭いホールに私の声が響く。
勢いに乗って他の人達も名前を叫んだ。
と「ありがとな!!今日は盛大に暴れてくれよな!!」
こうして次の曲のイントロが流れる。
歌う前としくんは私に向かって「ありがとな」って口パクで言ってるように見えたが気のせい……かな?
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作者名:ぺぺぺ | 作成日時:2023年10月23日 1時