虎ト白鯨、葡萄ト人形ー 捜し物 ー ページ42
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其の『本』とは、世界にただ一冊のみ存在する、どんな炎や異能でも傷がつかない代物だった。
組合が横浜の地を訪れた理由は、目当ての物が封印されている場所が、この地の何処からしいと云う、予言異能者が予知したからだ。
「その本と僕に何の関係が......」
「君が文字通り“
フィッツジェラルドの科白に、中島は目を丸くした。
「君を
「何......?」
___ 今、相手は何と言った?
聞き間違いであって欲しい。
自分が本を探す道標だと云う事よりも、中島は其の後の科白に血の気が引いて行くのを実感した。眼下の街とは、白鯨が飛行をしている横浜の事だ。
組合が何を企んでいるのか、言葉の意味から想像をするだけで恐ろしくなる。
フィッツジェラルドは話を続けた。
「異能特務課は無力化した。残るは探偵社とポートマフィア......だが、この二組織には流石に手を焼いていてな。街ごと焼け野原にした方が後々の捜し物も楽だ」
随分と簡単に言う。だが、街一つを焼け野原に変えるのは容易な事では無い。其れは相手も判っているはずだ。
何か策が有るのだろうか、中島は鋭い視線を向けた儘、フィッツジェラルドの遣ろうとしている事が限りなく不可能に近い戦略だと思っていた。
「焼け野原? そんな強力な異能がある訳...」
「これに 見覚えがあるだろう?」
フィッツジェラルドが手に持っていた、不気味な人形を見た瞬間、中島の心臓が大きく脈を打った。
***
「......話の途中だったね」
スタインベックはAからQの方に視線を戻した。
Qは相変わらず、殺意の篭った
先程彼により傷を付けられたAの躰にも、葡萄の木が生え始めている。
スタインベックは微笑を浮かべた。
「“ 緊急プラン ”っていうのは要するに、君と僕の異能の
「......っ異能の 連携?」
彼の異能である『葡萄』は、宿主と他の樹木とを中継し、感覚を共有する事が出来る。
今回の“ 緊急プラン ”で、横浜全ての樹木をQに結合した。
地上に居る人達は、其れを知る事無く、普段と変わらずに木の根を踏み、幹を叩き、枝を切り落としている。
其の樹木が受けた痛覚信号が全て、今もQに流れこんでいるのだ。
「詛ってやる......殺してやる......!」
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時