検索窓
今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:9,969 hit

4(宮田くん) ページ4

「・・・・眠」




全っ然、眠れなかった。


 

紺野さんを連れ帰ってしまったことへの軽い後悔と、再会したことへの衝撃で、頭は全然休まらなかった。




アラームが鳴って、渋々起き上がる。




紺野さんは、きっと平気だったに違いない。


あの人は昔からそうだ。


俺に対して、少しも緊張したりしないんだ。




「やっぱり」



ソファには、気持ちよさそうに眠る紺野さんがいて、その姿は”ぐっすり”以外のなにものでもなかった。




「人の気持ちも知らないで」



高校生の頃から10年以上経っているのに、紺野さんは紺野さんだった。


少しも変わらない。



まるで、10年前からタイムスリップしてきたみたいに。




図々しくて、ワガママで、それからとても素直。




「おはよ。みあた」




いつの間にか目を覚ました紺野さんが、俺を見つけて嬉しそうに笑う。




「・・・・おはよ」





君はズルいね。






目が覚めて、俺が目の前にいたことが嬉しかったの?




・・まるで、そんなふうに錯覚させるように笑うんだ。




「朝ごはん、食べる?」



「食べる!」





君と一緒に迎える初めての朝。





清く、爽やかな交際にとどまった18歳の俺たちは、朝を二人で迎えるなんて、永遠みたいに遠いことなんだと思ってた。

5(宮田くん)→←3(宮田くん)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
375人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:マキ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2021年1月16日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。