QKの秘書ちゃん。

おとうと感。 ページ9

side ymmt.

『暑いねー』

ふくらさんからのお使いの帰り道。梅雨の晴れ間のこの天気にやられそうになる。

『ああ、皮膚が焼けてる、』

ymmt｢日傘とか使えばいいじゃないですか｣

『あんまり好きじゃないんよねえ』

そういうAさんは袖の短いブラウスにパンツ姿だから、白くて細い腕が日に晒されている。

ymmt｢日焼け止めは塗るんですね｣

『それは当たり前のことよ』

オフィスを出る前、手足と首とに日焼け止めを塗るAさんの姿、色っぽかったなあなんて思い出す。

『で？次は左折？』

ymmt｢右です(即答)｣

『良かった、山本くんがいて。私だけだったら迷子になってたよー』

にこにこと嬉しいことを言ってくれるAさん。

ymmt｢年上に見えないね、やっぱり｣

『ちょっと、それ気にしてるんですけど〜』

ymmt｢若く見えるの嫌なんですか？｣

『25、6で若く見られたいとはならないでしょ。むしろ年齢相応に見られないのが問題』

ymmt｢童顔ですもんね｣

『そういう山本くんこそ』

ymmt｢そうですか？｣

『うん、おとうと感強い。こうちゃんと合わせて双子みたいだもん(笑)』

とこちらを振り向いて笑うAさんに、少しムッとする。僕だって、男なんだけど。

その時、角から猛スピードでこちらに向かってくる自転車がカーブミラーに写り思わずAさんの腕を引いた。

ymmt｢危な、！｣

『っわ、』

自転車は何食わぬ顔で通り過ぎ、僕と肩を抱き寄せられたAさんだけが残された。

ymmt｢あ、ごめんなさい、｣

『びっくりした、何かと思った、』

ymmt｢先に体が動いちゃいました｣

『ううん、ありがと。轢かれるところだったよ』

右手が掴んだ腕の感触と、女性らしい身体の柔らかさがまだ残っている。
そんなことを僕が考えているなんてAさんは思ってもないんだろうな、とまたムッとしてしまう。

オフィスに着き、扉を開ける手前でAさんの動きが止まった。

ymmt｢どうしました？｣

『さっきの山本くん、かっこよかったよ』

ymmt｢え？｣

『男の人だ、ってきゅんってしちゃった』

へらり、と笑って、Aさんはさっさと室内に入っていく。

そんな爆弾を落とされた僕は暫く動けなかったのだった。

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(『戻りました〜』)

(fkr｢おかえり…あれ、山本は？｣)

(『あれ？いないなあ』)

(fkr｢(何したのこの子)｣)

(sgi｢山本なに突っ立ってんの｣)

(ymmt｢もうむかつくんだけど…｣)

(sgi｢んん？｣)

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