病院ごっこ。 ページ8
side wtnb.
ウェブ記事も書き終わり、動画撮影までもう少し時間がある。さっきまでいたライターも帰ってしまい、オフィスには俺とAさんだけだ。
ソファでスマホを触っていると、Aさんに名前を呼ばれた。
『こうちゃん、今お手隙だったりする?』
wtnb「はい、大丈夫ですよ」
『ちょっとね、私の相手してほしくて』
そういって、俺の向いに椅子を持ってきたAさん。
『今から病院ごっこをします』
wtnb「何ですかそれ」
『こうちゃんは患者さん、私が看護師さん』
wtnb「はあ?」
『よーし…渡辺さんおはようございます』
wtnb「え、おはようございます、」
疑問符を浮かべる俺をよそに、病院ごっこ、とやらが始まった。
『今日担当の櫻井です、お願いします』
wtnb「お願いします、」
『では今から点滴の準備しますね』
wtnb「えっ、Aさん針刺すの?!」
『そんな訳ないじゃん(笑)でも、手縛るのはさせて』
言われた通り右腕を出すと、ポケットからベルトのようなものを取り出し二の腕をぎゅっと縛られた。
wtnb「これが駆血帯ってやつですか?」
『そう。ゴムのやつ使う人もいるけどね。はい、親指中にしてぎゅって手握ってくださーい』
wtnb「わっ、」
Aさんが細い指で俺の腕をなぞっていく。話の流れで血管を触っているんだとは分かるけれど、二人きりのオフィスで非日常なことをされると、ちょっと…
wtnb「Aさん、これいつまで、」
『ここやな…はい、ありがとこうちゃん、おしまい』
満足そうな笑みを浮かべるAさん。
wtnb「一体これは何だったんですか?」
『もう1年近く現場離れてるからさ、血管確保とかできるか心配になってね、誰か腕貸してくれる人いないかなあって』
wtnb「それなら普通にその理由言ってくれたら良かったのに、!」
『言わない方が臨場感あったでしょ?』
wtnb「別に求めてないですけど…」
『因みにこうちゃん、めっちゃ血管あるからどこでもいける』
wtnb「それは良い事なんですか?」
『看護師的には(笑)』
fkr「何してるの二人とも」
『あ、ふくらさんも腕貸して?』
fkr「え、腕?」
この後、オフィスに来たメンバーはAさんに次々と腕を差し出していた。
『皆若いから練習になんないや(笑)』
そう笑うAさんに邪な考えは全くなく、ちょっと変なことを考えた自分が恥ずかしくなったことはここだけの秘密だ。
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kono - 小ネタ超好きです! (2023年1月7日 11時) (レス) @page31 id: f637924c1f (このIDを非表示/違反報告)
ran(プロフ) - むめーです。さん» コメントありがとうございます!読んで頂けて嬉しいです!亀更新ですが、ぜひまた覗きに来てくださいね! (2022年12月11日 22時) (レス) id: 833dd47682 (このIDを非表示/違反報告)
むめーです。 - 初コメ失礼します!ほのぼのしてて癒やしだぁ…ってなりました!ありがとうございますm(_ _)m (2022年12月11日 12時) (レス) @page30 id: b77e78df3f (このIDを非表示/違反報告)
ran(プロフ) - ぽんこつはるさん» コメントありがとうございます!かなり久々の更新となりすみません…!喜んで頂けて嬉しいです(^^) (2022年7月7日 20時) (レス) id: 833dd47682 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんこつはる(プロフ) - 更新嬉しいです…! (2022年7月7日 19時) (レス) @page30 id: d924facb37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ran | 作成日時:2020年7月3日 12時