キスで迎えて誕生日/rt ページ34
かかとがヒールでじんじんと痛む。メイクも落ちて、朝はバッチリだった髪の毛も元気がない。
ここのところ仕事で帰りが遅くなる事が続き、そろそろ疲労が限界まで溜まってきた。歩いている今も目を瞑れば寝てしまいそうだ。
フラフラしながらもなんとか家に着き、鞄の中から鍵を取り出す。レトさんちゃんとご飯食べたかな、と思いながらドアを開けた後、意識が途切れた。
瞼の重さを感じながらもだんだんと視界が開けて気づく。
「おはよ」
「レトさん……？」
起き上がろうとしてレトさんの足が視界に入った。これはもしかしなくても膝枕をしてくれていたということだろうか。毛布もかかっている。
「ごめん……玄関で寝てたみたいで」
あはは、と苦笑いをすると、レトさんは不満そうな顔をした。帰りも遅かったし玄関で寝ちゃうしご飯も最近は作り置きばかりでさすがに怒ったのかな、と思い、顔を直視することが出来ずに視線を下に落とした。
「ごめん……レトさん」
「何が。ていうかさっきからごめんしか言ってないし」
「ご、ごめ……」
また謝りそうになり、私は口を手で押さえる。
「作り置きのご飯でもいい。俺が嫌なのはAが無理すること……っていうのもだけど、少し寂しかった」
そう言うとレトさんは私の肩に頭を置いた。
「怒って、ない？」
「怒ってる。帰り遅いの不安だし連絡欲しい」
「善処します……」
肩の重みが無くなり、レトさんと目が合う。久しぶりにきちんと目を見たかも、と思うと本当にここ最近レトさんとの時間が無かった事を実感した。
頬にするりと手が触れて、顔が近づく。
「キス、していい？」
「……聞かれると恥ずかしい」
「その顔が見たくて聞いてる」
唇に感触がして、私は目を瞑った。
「今日、膝枕もしてくれてたしレトさんなんか甘々だね」
「甘々じゃ悪いんですか」
「悪くないです」
釣られて敬語で返事をするとレトさんは少し照れた。
「今日と明日くらいは甘やかしてあげる」
「明日？」
「もしかして忘れてる？明日Aの誕生日」
「明日……2月27日。ほんとだ！」
仕事が忙しすぎて自分の誕生日をすっかり忘れていた。しっかり覚えているレトさんは完璧彼氏すぎる。
「どうせ休みなんだしさ、さっきのキスの続きしていい？」
もちろん断れる訳もなく、私はレトさんの腕の中に納まった。
その後、誕生日をキスをしながら迎えたのはもう少し後の話。
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蘭(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます！ (2020年1月8日 6時) (
レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2019年11月30日 10時
