歪なオランジェット/gt ページ33
皆が友達と交換したり、好きな人にチョコレートをあげたりする中、私は1人ゴミ箱の前に立っていた。手にあるのは潰れたチョコレート。
「私の馬鹿」
事は数分前に遡る。ホームルームが終わって放課後になり、私も例に漏れずチョコレートを渡す相手の所へ向かっていた。その相手はイケメンな同級生でも頼りになる先輩でもない。ガッチ先生だった。
今年は張り切って大人の先生でも食べやすいようにオランジェットを作った。
ドキドキしながら先生を探しに行く途中、確認の為に鞄からチョコレートを出すと、それは無惨な形になっていた。
「な、なんで……」
恐らく鞄の中で潰れてしまったのだろう。こんな歪なオランジェット、渡せるわけがない。そう思い私はゴミ箱のある昇降口に向かった。
そして今に至る。ちなみにここに来てすぐ幼馴染のキヨくんを見かけたが、好きな子といい雰囲気になっていた。明日事情聴取しよう。
捨ててしまおう、と決心して、ゴミ箱に手を入れようとした瞬間その手は掴まれた。
「学校に食べ物捨てちゃ駄目だよ」
振り返るとガッチ先生がいた。
「それ、誰かにあげる物じゃないの？」
「……いいんです。だって、こんなにボコボコになっちゃったチョコ、誰も欲しくない」
沈黙の後、先生は私からチョコレートを取って食べ始めた。
「先生！？何してるんですか！」
「え、食べちゃダメだった！？捨てるくらいなら俺が食べようと思って……」
駄目なわけがない。だってそれは、先生に作ったチョコレート。
「見た目ばっかり気にしてるけど、ちゃんと味は美味しいよ」
ガッチ先生はそう言うと私の頭にポン、と手を置いた。
「本当はそれ、先生に作ったチョコレートです」
「あ、そうなの？じゃあ問題ないか。ありがとう」
「……義理とかお礼じゃなくて、本命チョコ！！先生のことが、好きなんです」
ほぼ勢いで出たその言葉に自分で恥ずかしくなり、顔を上げられない。
「ごめんなさい。迷惑ですよね。忘れて下さい」
「迷惑なんかじゃないよ。……むしろ、嬉しい」
顔を上げて先生を見ると手で顔を抑えていたが、隙間から赤く染っているのが分かる。
「それって、期待していいって事ですか？」
「期待して、いいです。でもAが卒業してからね！」
今の気持ちは、甘酸っぱくてオランジェットみたいだ。
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蘭(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます！ (2020年1月8日 6時) (
レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2019年11月30日 10時
