3分間で世界は変わる/uszw ページ25
「ごめんレトさん、また今度」
私は強引に電話を切った。レトさんには申し訳ないけどこれ以上話せる気分じゃなくなっていた。
なんだか穴に埋まりたいくらいにはネガティブになった私は、日誌もそっちのけで走り出して、誰も使うことの無い空き教室に入った。
「好きって自覚して、5分も経ってないよね。3分間？カップラーメン出来ちゃうよ」
誰もいないところで愚痴を吐くと少しすっきりしだした。
「大体彼女がいるなんてレトさんも言わないでよ！好きって自覚したばっかなのに！」
「へー」
「キヨくんがモテることくらい知ってるけど、私だってそれなりに好きだったはずなのに、なんか悔しい」
「うんうん、それで？」
「いっそのこと少女漫画の王子様みたいな人が今目の前に現れて私をどこか遠くまで連れて行ってくれたらいいのに！」
「じゃあ俺が連れて行ってあげようか？」
目の前を見ると黒縁メガネをかけた黒髪の人がいた。私の思考は停止した。
「何？清川のことが好きなの？」
誰もいない教室のはずなのに何故人がいる。誰か分からないが上靴の色からして一学年上の3年生ということは分かる。そもそもいつから聞いていた？
「カップラーメンが出来る間にAさんは失恋したんだ」
「なんで名前…」
「名札」
ああ名札…と納得している場合ではない。あんな愚痴を知らない誰かに聞かれたのが恥ずかしくなって、私は教室から出ようとした。だが焦りすぎて上手く立ち上がることが出来ずに転んでしまった。
「……ふ。大丈夫？」
そう言うと先輩は手を差し出してきた。転んだことを鼻で笑ったのは私は見逃していない。失恋した上に知らない先輩に愚痴は聞かれるし転んで笑われるしでついていない。
「ねえ、ちょっといい？」
嫌々先輩の方を振り向くと、目の前には黒縁メガネがあった。はっと息を呑んだが、目の前にあるだけで何も触れてはいなかった。
「キスされると思った？するわけないでしょ。ていうか全然知らない男でそんな顔真っ赤にしてるとかもう心変わり？」
「次会う時は、俺の事好きになっちゃうかもね」
そう言うと先輩は教室を出ていった。頬に手を添えると熱を感じた。好きになるなんて有り得ない。でももしかしたら、3分間で失恋するなら3分間で恋に落ちて世界が変わることだってなくはないのかも、と思う自分もいたのは誰にも言わないことにした。次にどこで会えるか期待してる自分も。
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蘭(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます！ (2020年1月8日 6時) (
レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2019年11月30日 10時
