大人の余裕/gt ページ21
夢の国、と呼ばれるそこは今日はいつもより更にキラキラしていて綺麗だった。シンデレラのお城だってイルミネーションに照らされていつもより綺麗な気がした。
「見て！ガッチさん！お城だよ！」
「綺麗だねー」
「あ！見て！スタッフさんサンタさんの格好してるよガッチさん！」
「クリスマスだからね」
今日はクリスマス。「どこに行きたい？」とガッチさんに聞かれて私はネズミーランドと答えた。クリスマスに行くのは初めてで私のテンションは最高潮に上がっている。
「A。ずれてるよ」
何のことかと思ったが、ガッチさんがネズミの耳がついたカチューシャを直してくれて気づく。
「あ、ありがとう！」
顔が近くなって少し照れていると、ピロン、と軽快な音がした。
「私のじゃないってことはガッチさんじゃない？」
「レトさんの彼女だ。レトさんがイルミネーション見に行きたいって言っても家から出ようとしてくれないんだってさ」
ガッチさんは苦笑いしながらも指を動かして返信をしていた。レトルトさんの彼女は少し会ったことがあるがとても可愛いかったことを覚えている。あんなに可愛い彼女がいてレトルトさんは幸せだなあ、なんて考えていると
「でもレトさんの事だから多分今日くらい連れてってあげるかもね」
とガッチさんが言った。「そうだね」って私は返しておいた。
ふと時計を見て気づく。
「ガッチさん！！大変！パレード始まっちゃう！」
「ああ。A楽しみにしてたもんね」
「行こっか」とさらっと手を繋いでくれるとこがやっぱり大人だなあと感じる。ガッチさんはいつも全ての行動がスマートで、気遣いができて……年下の私は、年上のガッチさんにドキドキさせられてばかりだ。
熱くなった顔を冷たい手で冷やそうとしたがそれは阻まれた。ガッチさんの手によってだ。私は今ガッチさんに手首を掴まれている。
「……ガッチさん？」
首を傾けると、唇に触れる感触がした。
「メリー、クリスマス？Aが可愛くてつい、キスしたくなっちゃった」
えへ、と言わんばかりの笑顔でそう言われた私はいろいろとショート寸前だった。ああもう、この人には叶わないな、そう思って私はガッチさんの胸に顔を埋めた。
「Aはいつも、大人の余裕だ、とか私ばっかりドキドキしてるって言うけど、俺だってドキドキさせられてるよ。今も」
ガッチさんは私の頭をポンポンと撫でた。埋めた胸からは少し早めのリズムが聞こえた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 133人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蘭(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます！ (2020年1月8日 6時) (
レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蘭 | 作成日時：2019年11月30日 10時
