寡黙な彼氏/ky ページ13
寡黙とは。言葉数が少ないことを意味する。
私の彼氏は寡黙と言っても間違いではない。だがそれは全ての人に対してではない。学校だとむしろうるさいくらいだ。スイッチのオンオフがはっきりしているとでも言えばいいのだろうか。私と二人の時は口数が減る。気を許しているから、と言えばそれはそうだが、少し悩みどころではある。
そんな寡黙な彼氏……キヨくんと今日も帰っているわけなのだが、「明日はマラソン大会だね」に対して「そうだね」と先程会話を終了させられたところだ。他になんかないのか、と思わず言いたくなった。
いろいろ考えているといつの間にかキヨくんはヘッドホンをつけていた。聞くまでもないが一応聞いてみた。
「……何聞いてるの？」
「乃木坂ちゃんに決まってんだろ」
「だよね」
「Aも聞く？」
そう言うとキヨくんは私にヘッドホンを装着させた。キヨくんのおかげで何回も聞いたことのある音楽が流れている。歌詞も覚えてしまった。
「ありがとう。でも今はいいかな」
私はキヨくんにヘッドホンを返した。
「今日、寄り道していかない？」
「どこに？」
「公園……とか？」
別にいいけど、というキヨくんの手を引いて公園に向かった。
公園に着いたのはいいが勢いで来てしまったので今更どうしよう、と考えているとキヨくんに何すんの？と聞かれて困ってしまう。
「す、少しでもなんか一緒に居たくて……って寒いよね、帰ろっか……ってキヨ…くん？」
気づけば私はキヨくんに後ろから抱きしめられていた。
「何それ。ずるすぎんだろ……」
「ちょ、キヨくん？どうし「あのさあ」
「俺はAの前だと口数少なくなるけどそれは気を許してるからだし、本当はAの行動一つ一つに振り回されてる」
「私さっきからそれで悩んでたんだけどもしかして……エスパー？」
自分の悩みについて話され出したので驚いてしまう。
「違う。レトさんから聞いた」
「レトさん……って、ええっ！？レ、レトさんに相談してたのに…裏切り者だ」
キヨくんにバレたことがとてつもなく恥ずかしくなり、真冬にも関わらず自分の体温は上がっている気がする。
「分かってるなら、言葉にしてくれないと」
「言葉？あー……」と言ったキヨくんは私の向きをくるりと変えて、顔を耳元に寄せてきた。
「好き……だよ」
「よく出来ました」
寡黙な彼氏でも、たまにはこうして言葉にしてほしいものだ。
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蘭(プロフ) - なめこさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。これからもキュンキュンするお話頑張って書きます！ (2020年1月8日 6時) (
レス) id: c4a54b0710 (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - めっちゃキュンキュンしました！ (2020年1月7日 21時) (レス) id: 136e05d453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘭 | 作成日時：2019年11月30日 10時
