終わりまでのカウントダウン【灰谷蘭】 (ページ4)

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4日目ページ4

学校に行けば向けられる数々の視線。
聞こえてくる声は先輩の件についてだった。
昨日のデートが見られてたのかな。
あんなイケメンで有名な先輩が私と付き合ってることに驚きなんだろう。

靴箱には可愛らしい女子の字で放課後体育館裏で待ってると言う紙。
在り来りなその出来事に鼻で笑って。

『行くか、ばーか』

くしゃっと紙を丸めて吐き捨てた。

教室へ行けば友人には心配され、廊下には人だかり。
騒々しくてしょうがなかった。

私が先輩と不釣り合いなのはわかってる。
こんな私はきっとすぐに捨てられるかも知れないけど、一瞬でも先輩の視線が私に向くならそれでいい。
恋っていうのは盲目なのね。

なにも聞きたくなくて机に伏せて目を閉じた。

「起きてA！」

『ふぁ…？』

「灰谷蘭が来てるっ！」

寝ぼけた頭でその言葉を理解していく。
ガタタッと椅子から立ち上がり先輩の姿を探す。

「おはよ、寝坊助ちゃん♡」

静かな教室に響く先輩の少しバカにした声。

うわー…見られた。

恥ずかしさで顔が赤くなるのが分かる。
そんな私に先輩は可愛いと告げた。

赤い顔がさらに赤くなり等々手で顔を覆った。

「Aちゃん」

『はい…』

「授業、サボろ？♡」

『はい…

ん、え？』

「言質とーり♡」

想像もしていなかった言葉に顔を上げるといつの間にか先輩は目の前に来ていて驚く間もなく私の手を絡ませて教室の外へと歩いていく。

友人から聞こえる私の名前を呼ぶ声。
でも、そんなのに気を取られてる暇は無かった。

今は先輩がみんなの前で手を繋いでくれてる。
きっと噂が聞こえてたはずなのに嫌がることも無く、寧ろ見せつけるように繋いでくれたその手をそっと握り返した。

そんな先輩にギュッと心臓が締め付けられた。

『せ、先輩…』

来た場所は屋上。

「んー？」

今の体制は私が先輩に後ろから抱きしめられている状況。
こんなの心臓がもたない。

『は、恥ずかしいです…』

「ふっ…

じゃあさっきから寝癖がついてる前髪はいいのかぁ〜？」

急いで前髪を抑える。

先輩の前では少しでも可愛く居たかったのに。

『うわぁ…見ないで下さいぃ〜』

「…可愛い」

不意に言われた可愛いに泣きそうになった。
私に脈なんてない。
ただの暇つぶしだと思われていると思ってた。
それでもいいと思ってた。

でもそんな言葉…期待しちゃうじゃん。

先輩はずるいですね。
もう私の心を掴んで離さない。