紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

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、


「ほくちゃん？」

「可愛いなーと思って」



出遅れていようと

話しかけるより見つめてしまうのは

きっと、関係を進展させたいとか
特別になりたいとか

そんなこと考える暇もないほど



ただAが好きってだけなんだと思う。




もちろん嫉妬だってするし
彼氏になりたいと思わないわけじゃない


でも、何かアクションを起こすより

このままずっと近くで支えていたくて




「か、可愛い！？」

「うん、A見てると可愛いなーって
そんなこと考えてたら話しかけるの忘れる」



この広い室内でAが誰と話していても
内容よりAの表情を見てるのが

たまらなく心地いい。




何かアクションを起こして
この心地良さを手離したくない。


俺はやっぱりAに好かれたいから
臆病だと笑われてもこのままがいい。


嫉妬を募らせてもそれをAじゃなく
仕事にぶつけるくらいしかできないし。



俺のAへの気持ちって


結局、誰が何をしたからとかじゃなくて
ただAをそばで支えたい


そういう、好きのかたちだと思うから。




「もしかして、寂しかった？」


「そ、そうじゃないよ？ただ見てるより
一緒に話すほうが楽しいかな、って思って」

少し顔の赤いAは目を泳がす。


「話すのも楽しいね」

「でしょ？」


「うん、近くでA見れるし」

「そっ…いうことじゃなくて」


Aは赤い顔で少し困った表情でオロオロとする。

それもやっぱり可愛い。



「A！ちょっと」

「は、はい！」

陣さんがAを呼ぶと返事をする。



あー、もういっちゃうんだ。と思って

結局寂しいのは俺なのがおかしくて笑える。




「どうしたの？ほくちゃん」

「うーん、A」

「ん？」

「ちょっと耳かして？内緒話」


Aはナイショにつられて目を輝かせて
耳を近づけて隠すように手を添える。


この素直さも可愛い。




名前を呼ばれたら
直ぐそこに駆けつけるAを

いつだって気前良く送り出すしかない。



それはAと一緒にいて一番嫌な瞬間で


それが仕事のためだとしても
やっぱりそばにいてほしいって思うし

仕方ないって我慢して
譲らないといけないのもわかってる。




「ほくちゃん？」


どうせ仕事の話の陣さんにAを
譲るために仕方なく我慢するけど





「好きだよ、A」


それでもこの気持ちだけは
我慢できない、譲れない。



こっそり伝えて
真っ赤になる君の耳たぶに唇を寄せた。

。

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