紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

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、



「なんか他のはない？」

「ないよ？色気駄々漏れ以外にはない！」

「言いきるんだ…」


色気駄々漏れって褒めてるんだろうけど
ちょっとなんか複雑な感じが…


ひとまずAの隣に座って汗を拭く。




「樹くんって指先の動きがしなやかで
ジャケットの捲り方とかすっごいもん色気」


「駄々漏れてるって言いたいの？」

「うん！藤原色気だよね！」


「うっわ、それ嫌」

Aはクスクス笑って指先を動かす。


「樹くんみたいに動かないもん」

「Aは関節硬すぎ」

「指の関節か！」

「もっとこうさ」


Aの小さな手に重なる手は
その先にある顔とは違って武骨なのに
握り方はとても優しい。



「這わすっていうか丸いものを撫でる感じ」


「う、うん」

手の甲を綺麗な指でなぞられる
その動きにAはビクッとする。



「・・・わかった？」

「う、ん。わかった」




「うそつき」

鼻で小さく笑った樹の指先が
Aの輪郭をなぞるように流れる。





「こういうこと。わかった？」


「いっ、色気！！」

Aは顔を真っ赤にして声を大きくする。



「は？」

「今の！今のその顔！」


今のその顔？え、なに？どんな顔？



「…いっ、色気いっぱいで笑ってた！」

「そんなつもりないけど…」

「うそ！そんなの絶対ダメ！」


ダメって言われても…
自分がどんな顔してたか鏡も見てない…




「い、樹くんはかっこいいんだから
ほんっと自覚して！心臓が麻痺しちゃう！」


「え、なにそれ可愛い」

「はっ、はあ！？」


いやだって、心臓が麻痺しちゃうって
そんなの可愛いだけじゃん。



俺で心臓おかしくなりそうってことだろ？

そんなの聞いたらこっちがおかしくなる。




「悪いけど、自覚が足りないのはAね」

「私はちゃんと自覚ある！」

「可愛い自覚あんの？」



「それはないっ！」


なに自信満々に胸張ってんの…

人に言う前に可愛い自覚をしろ本当に…




「可愛いから、自覚して？」

「っ、」

頬に手を添えるとビクッとするA



そう、その反応ひとつすら可愛いんだけど
きっと君にはわからないだろう。



「Aが自覚したら俺も自覚する」

「な、なんの自覚？」



「…Aがこの顔に弱いって自覚」


さっきと同じように
A曰く色気駄々漏れで微笑むと

真っ赤な顔をして目を大きく見開いた。




久しぶりに真っ赤になるAも見れたし




仕方ない、


俺はおでこにキスで我慢しよう。



。

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