紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

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Aはなぜか鏡の前に座る。


「ねえ樹くん」

「ん？」

「お願いがあるんだけど」

「…物による」

「ふふっ、…のきのき踊って」


なんで今"Knocking Knocking"？

不思議に思う気持ちが顔に出たのか
Aは微かに笑う。



「それでそのあとOneMoreKiss踊ってー
うーんキャンセもいいなぁでもなぁ」


「なに？なんで踊らせたいわけ」



「…樹くんのダンス好きだからかな」


どこか悲しげに笑ったA





「ダンスだけ？俺は？」


「もちろん好きだよ」


わかっている答えに鼻で笑う。




「じゃあさ、」

「ん？」



「一曲踊る毎に俺のダメなところ言って？」



「え、そんなところある！？」


「あるだろ、山ほど」



樹くんの悪いところ？と呟くAは
眉間にシワを寄せてうーんと言う。




「じゃ、始めるから」

「えっ待って」

Aの声を無視してリクエスト通りに踊り始める。



目では必死に俺を捕らえるくせに
たまに考えるような素振りをして唸る


「そろそろ半分だぞA」

「あー、待って待って！」

Aの言葉では曲は止まらず
俺は次々と記憶に刷り込まれた動きをする。



もっと必死に俺だけを見て

その目で追いかけて


俺だけをその瞳に映して

頭のなかも俺でいっぱいにしろ。




「……はい、俺のダメなところ１つどーぞ」


「えっと、えー待って、待ってね」

「はやく」


「あ、イジワル！」


１発目が『イジワル』って…
あと何曲踊らせたいんだっけこのバカは…。

次の曲でもう何も浮かばないだろうな…



「じゃあ、次」

「これ過酷だよ！ダンスに集中できないっ」



いいんだよ、集中なんかしなくて。


どうせ明日も明後日も
俺の隣でAは踊ってるんだから。




「あ、もう浮かんだ！これはもう！」

「終わるまで覚えてられんの？」

「あっバカにしたなー！」


今回は早くも俺のダメなところが浮かんだみたいでダンスを余すことなく楽しむA。



「で、次の俺のダメなところは？」

「フェロモン過多！」

「・・・」


「えっ、ダメ？」


食い気味で答えるのが『フェロモン過多』
俺のことどう見えてるんだか…



「いいよ、じゃあ次考えて」

「もうないよー」



次に出てきたのは、色気が強い
そして、ステージで肌見せすぎ

と、そちら方面ばかり。




「いやフェロモン過多と一緒」


「だって樹くんのダメなところなんて
フェロモン過多以外に浮かばないし！」



どういうことだよ。


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