紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

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「タクミさんは私が幸せにする…」

涙を拭いながらまだそんなことを言っている。


「そんなに良かった？タクミが」

「うんっ…ずっと心を支えてくれてるのに
タクミさん選ばないなんてありえないよおお」

「そうかなぁ？」

「だってタクミさんが支えてくれてるから
学校に行って笑ってられたのにー」



支えてくれてる、ねぇ…。


「でもタクミがいなくなったとき
支えてくれたのはハルマじゃん？」


「あれはヒロインを好きだから支えてるの！
でもタクミさんは最初は好きじゃなくて
ヒロインが勝手に支えられて好きになるの！」


「何とも思ってなくて支えられるより
好きだって思って支えられる方が良くない？」



「そこから芽生える恋がいいんだってばー！」



わかっていた結末に号泣しているAは
キャラの心情を汲んで観ていたのに対して


俺はこのドラマに自分を置き換えて
観ていたことにようやく気がついた。





「何とも思ってなくて支えてるつもりもない
なのに少しずつ興味が湧いて気になって」




タクミに腹が立つのはきっと
こういう男がAを連れ去ると思うから。

そして、





「いつのまにか好きになってる、
でも気付いたときには遅いのが切ないの！」



気付いたときには遅い、という言葉と
フラれてしまったタクミの姿が
やけに自分に刺さってしまうからだ。




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