紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

。。。 ページ38

、

深夜３時。


「ほらAしっかりして」

「んーん」


ガチャッと玄関が開いた音に
すぐさまリビングを出たのは翔平。



「え……」


Aをおんぶしてるのは
間違いなくGENERATIONS片寄涼太。



「あ、翔平！ちょっとAを」

「は、はい」

翔平は言われたままAをおぶる。




「龍友くんが仕事終わりに見つけて
無理矢理に飲みに連れてきてたみたいで」


「そうだったんですね…」

「連絡させないように携帯取り上げられてたみたい、ごめんね」



「A！」

話し声で気づいたのかバタバタと足音がし出す。


「あ、みんな起こすとまずいし
俺はこのへんで、じゃあまた」

「は、はい！ありがとうございました！」


翔平はおぶったままリビングに向かう。



「Aは！？」

「眠ってます」

陣さんと力矢さんが一息つく。


「ジェネさんの飲み会に連れて行かれてたみたいです」

「あ、あーそういうこと」

力が抜けたように陣さんはしゃがみこむ。



「連絡できないように携帯取り上げられてたとかだろうね」

力矢さんの苦笑に起きてきたメンバーがホッとする。


「翔平、あと頼んでも大丈夫？」

「大丈夫です」

「ほんならみんな部屋戻って寝るでー」


陣さんの掛け声で部屋に散らばる。




翔平はおんぶをしたまま少しリビングを歩く。

まるで赤ん坊をあやすかのよう。



「Aー、お酒の匂いすっごいぞー」

「……」

すーすーと小さく聞こえる寝息に
翔平は吹き出すように笑う。




「…こんなに心配したの初めてですよー」

「……」


「熟睡かーい」

「……」




「誰にも任せたくないな……」



「んぅ……しょぉへ？」

タイミング良く背中にいる女の子は
まだ眠そうに薄く目を開ける。




「起きましたかーお姫様」

「んふふふ、んー」

笑うけどまた瞼を閉じて、翔平の首に回す手に力を入れ直す。



「連絡しないとみんな心配するでしょー」

「んー」

「んー、じゃなくて」

「んふふ」


まだ微睡みの中にいる彼女は
力のない返事とゆるい笑い声しか出さない。



「…A」

「……」


「好きだよ」


微睡みのなかにいる彼女にそう言っても
きっと夢のなかのお話しだろう。


それでも、心配した気持ちを

不安だった時間を昇華させるには


そう言葉にするしかなくて。




「んー、しょへ…すき…」

「意味が違うんですよーAさーん」



背中の重みを今はまだ離せず
しばらくリビングにいるしかなかった。



。

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