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Aに連れられ本屋に来ると



「じゃ、好きに見ててください!」

「は?」

Aは早歩きで消えていき、
俺は文庫本のコーナーで放置された。


こんな扱いをされるのは初めて。

むしろこの扱いを許せるのはAだけ。


本屋で放置をくらうなんて…
それを許せてしまうのも驚きだ。

惚れた弱味というのはどうも恐ろしい。


気になるものを取ってパラッと読むが
これといって読みたいと思えず

何かタイトルでいい語呂のものを…


そう思って本の列をなぞる指が止まる。



「良いもの、見つかりましたか?」

自分が指でなぞる本の奥側から覗いてくる女。




「・・・アホ面が見つかった」

「アホ!?」


棚の隙間から驚いた顔が見える。

子供じみた遊びをしてくるAに
自然と笑いがこみあげる。


今すぐこの隙間から手を伸ばして
その頬を捻ってやりたい。


そんな衝動を抑える。



「早くこっち来い」

「はーい」

ふふっといたずらっ子みたいに笑って
棚を回ってこちら側にやって来る。


「欲しいもん、あった?」

「はい!もう買ってきました!」

「なに買ったん?」

「内緒です」

袋を隠すように手を後ろにする。


「それより壱馬くんは?」

「…特になかったかな」

「今さっきどれか取ろうとしてませんでした?」

「してない。じゃ、帰ろか」


Aに気づいて止まった指がさした
本のタイトルを横目に出口に足を向ける。


「あ、壱馬くん!表紙に壱馬くんがいる!」

「あー、映画のやつや」

「かっこいい!買わなきゃ!」

「いや、買わんでいいって!」

「買うの!」

語気を強めにそう言ってAはレジに向かってしまう。

買わなくても事務所に行けばあるし
読めるし言えば貰えるのに…


「あとでサインして!」

「ファンか」

「うん!ファン!」

ニコニコして本屋を出るA
ファン、と言われるのは嬉しさ半分

複雑さ半分。


ファンを越えた距離にいるのにファン。
メンバーであり、ファン。


でも俺はAのファンではない。
Aは俺の好きな人。


これじゃあどっちがファンかわからない…。




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やなぎ(プロフ) - ずっと3まで繰り返し読んでいたのですが、4も出されていたのですね!読みたいのですがパスワード教えていただけないでしょうか… (2021年1月17日 0時) (レス) id: 9aa5824c73 (このIDを非表示/違反報告)
しろ - 4の方読ませていただきたいのですが、パスワード設定になっておりますので、解放していただくことは可能でしょうか?( ; ; ) (2020年12月27日 20時) (レス) id: 6f69a06b14 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 梨味さんの書く作品、めっちゃ好きです!ドキドキハンパないです!特に壱馬くんと翔平君はめっちゃリアルっぽくて好きです!これからも更新楽しみにしてます! (2020年3月14日 15時) (レス) id: 27389578a5 (このIDを非表示/違反報告)
梨味(プロフ) - ryoさん» コメントありがとうございます。楽しみにしていただけて大変嬉しいです!ゆっくりにはなりますが更新頑張らせていただきます! (2020年2月21日 17時) (レス) id: 190515c801 (このIDを非表示/違反報告)
梨味(プロフ) - こうさん» 修正をしながら少しずつ更新しておりました。お待たせしてしまい申し訳ありません (2020年2月21日 17時) (レス) id: 190515c801 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梨味 | 作成日時:2019年9月28日 16時

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