紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

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でも結局、僕はAさんの
お願いやしたいことを無下にはできない。


「じゃあ先に慎くんがお家出て！」

「どこで待てばいいんですか」

「そうだねー……あ、事務所前で！」



嘘でしょこの人・・・
なんて色気も雰囲気もない待ち合わせだよ…



北人さんも笑ってしまっている。

事務所前って、もうそれ仕事だし…



いや、まぁこの人にそれこそ
駅前でとかカフェのなかで待ち合わせって
言われたりしたら

デートって意識してくれてるのかなって
浮かれっぱなしでしかたないけどさ…



玄関で下ろしたばかりの靴を履く。

もう溜め息しか出てこない。



「楽しみだね、待ち合わせ！」

「・・・・はあぁ」

「えっ、溜め息！？」


やっぱり、Aさんの笑顔を見れば
なんでも叶えたくなるし

嬉しくなってしまう単純な自分。



「待ち合わせ、遅れないでくださいよ？」

「うん！楽しみに待ってて？」

「はい、待ってます」

ドアに手をかける


「いってらっしゃい、慎くん」

「…いってきます」



このあとAさんと出掛けるのに

そのAさんに見送られるのは
なんだか不思議な気持ちになるけど


くすぐったくて、むず痒い。



いってらっしゃいと言われて
家のドアを開けるのも悪くないかも…？




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