紅一点、君は百点、僕らは満点 ３

F.I ページ2

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物語の最初にヒロインの心を揺さぶる男は
どうも当て馬ぽいというか

ヒロインと気持ちが通じ合わないと思う。




「えー、こっちとくっつかないの！？」

「うっそ…まじで…」


みんなで画面に食い入る理由は
今Aがハマっている恋愛ドラマ。

物語の最初に出てきた男は
あっさりと物語から退場して
ヒロインのもとから去っていった。



「嘘だろ！おい！」

「いやこれはないって！戻ってこい！！」


みんな必死になってあーだこーだと大騒ぎ。
ただ、A１人を除いて。



じっと画面を見つめて
次々に流れていく話を観ている。
半分を折り返す６話が始まった。


最初に出てきたいい男が去ったことで
リビングからも男たちは去っていき
Aと俺しか画面の前にいない。



「あっ」



『ただいま』
『…え、どうしてここに…？』

『うーん。会いたくなった、から？』



「戻ってきたー！！」

Aはやっと声を出して立ち上がる。


「樹くん、戻ってきたよ！」

「そうだね」

「はー、やっぱり戻ってくると思ったんだよ」


Aはこの展開をわかっていたというか
期待していたみたいだった。


「よかったー…」

目を輝かせて画面を食い入るAのために
お茶をいれてテーブルに置く。

Aは気づかないくらい集中している。



真剣にテレビを見るその横顔は
可愛いというより綺麗で。



「よしっ、休憩！んーっ疲れた」

リモコンでドラマの再生を停め
体を伸ばす姿は可愛い。




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