紅一点、君は百点、僕らは満点

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、


きょとんとして彼女は笑う。




「私も樹くん好きだよ？急にどうしたのー変なの」

「………言ってみただけ」

「変な樹くん。…あ、みんな差し入れ見てる！樹くんも行こ！」

立ち上がって群がる男の輪に走っていく。



そこには彼女が真っ直ぐ見つめる相手がいて、小さな頭をその人の腕の隙間にねじ入れる。


された方もまんざらでもなく、そのままAの頭を乱暴に撫でた。









『めんどくさいなー。…じゃあ、誰と？』

『それはねー、うふふ……好きなひと！』



輪の外からいつもいつも彼女を見ていて、
見るだけで満足していて、

これ以上を求めることはなくて
この気持ちに答えを出していなかった。


だって俺は17人でいれるなら良かったんだ。



これが恋なんて気づいたときには遅くて、

今さら終わったと言い聞かせた恋に火をつけることもできない。



そんな臆病な俺はやっぱり彼女を見つめるだけ。




この視線に、１分で気づいてくれたら、

１分で気づいてくれたら、



今から本気だしてもいいかな・・


もう無理だって言い聞かせて、
遅いって言って諦めて、

見とくだけは今日で最後にする…



これが本当の最後…

気づいてもらえなかったら、全部終わりにしよう。
この気持ちも、見つめるのも、思い出も捨ててしまおう。





だから、１分。


１分でいいから…



１分だけ、Aの視線を俺にちょうだい






残り30秒…




20…19……18……17………



…13……10…



10、



「樹くん！そんなところから見つめてないで早くおいで！！」


勢いよく振り返って手招きをして笑うA。





「樹くん？」





きっと、カウントが０になってても
気づかれるまで見つめていたような気がする



だけど、それくらい


卑怯なことをしてでも諦めたくないって思ってしまった。


最後にするって決めた途端に悪あがきする自分が馬鹿らしくて鼻で笑ってしまった。




「A」

わざとらしく間に入り、耳に手を寄せた。



「な、なに？」

「ごめん、さっきの本気になっちゃった」


「………えっ！？」


一瞬考えるとすぐに馬鹿みたいに目をぱちぱちと何度も開けては閉じる。



だんだん顔が赤くなる俺たちの紅一点の頬をわざとらしくつついてみる。





「覚悟しとけよ」





耳まで赤い君を愛しく思う卑怯な俺を
早く、好きになって？



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