３９０．side O ページ47
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本田さんと北村さんに追い立てられるように検事室を出た。
昨日に続いて、今日もこんな時間に退庁とは。
松兄からLINEのメッセージが着信。
庁舎前に着いたとのこと。
さくら荘から、ここ九段の合同庁舎までは、車だったら十分かからないぐらいの距離。
さっきの電話の後、すぐに出たようだ。
警備員と挨拶を交わして玄関を出る。
陽はすっかり落ちていたが、随分と蒸し暑かった。
今晩も熱帯夜になりそうだ。
内堀通りに面した奥の生垣の前に、翔くんのＳＵＶが停まっていた。
松兄が会社の車で迎えに来ると思っていたが、どうやら翔くんが駆り出されたみたいだ。
今日は午後から手術だと言っていた。
さくら荘に帰るなり、松兄に捕まったんだろう。
重ね重ね申し訳ないことしたな。
点滅するハザードランプに向かって歩き出したとき、右側の植え込み辺りに何かが動く気配を感じた。
外灯の明かりは、植え込みの片側だけ煌々と照らしていたが、俺に近い側には届かなくて、濃い陰を作っている。
その暗がりの中に、何かいる。
足を止めたのは必然だった。
距離にして７〜８メートル。
目を凝らしても、眩しいほどに明るい外灯は目を慣れさせてくれず、輪郭さえ見えない。
おそらく向こうからはちゃんと見えているんだろう。
暗がりに身を潜めながら、ただじっと、こちらを伺っている気配。
今朝、霞ヶ関の本庁に俺を訪ねたヤツなんだろうか。
岡田との電話が言霊になったとは思えないが、まさか本当に待ち伏せしているとは。
こめかみを汗が伝った。
「おい！」
突然の大きな声。
ハッとしてＳＵＶを見ると、松兄が助手席から降りて、こちらへ駆けて来ようとしていた。
運転席のドアも開いた。
その瞬間、視界の端で「それ」が動いた。
ガサガサと植え込みを掠める音を立てて身を翻した直後、走り去る後ろ姿が外灯の下に晒される。
白いＴシャツ、白いスニーカー。
「おいっ！
止まれっ！」
松兄がその後ろ姿に向かって走り出した。
「いいから！
追わないで！」
松兄を制した俺の声に反応したのだろうか。
男は、闇に紛れる寸前、振り返った。
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kotorix(プロフ) - seriさん» seriさん、ご無沙汰しておりました！お懐かしい…。長らくの更新停止、申し訳ありませんでした。お立ち寄りいただき嬉しいです！不穏な展開になっていますが、心を込めて書いてまいります。他作品も更新再開いたしましたので、今後ともよろしくお願いいたします。 (2020年12月15日 0時) (
レス) id: 5cfd22b9da (このIDを非表示/違反報告)
seri(プロフ) - ご無沙汰しております。ふと、思い出し立ち寄らせていただいたところ、再開されてて、わくわくドキドキで読ませていただきました。それぞれのそれぞれらしい優しさにひきこまれます。早く結末が知りたいような、いつまでも終わって欲しくないような... (2020年12月8日 15時) (レス) id: a3888f4905 (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - 領径さん» 領径さん、はじめまして。いつも有り難うございます！長らくお待たせして申し訳ありませんでした。この物語は2012年1月に始まりました。当初年中さんだった領は小学校3年生に。長い物語もようやく終盤、目下最大の難局を迎えています。引き続き宜しくお願い致します！ (2020年10月26日 1時) (レス) id: 5cfd22b9da (このIDを非表示/違反報告)
領径(プロフ) - はじめまして。kotorix様のお話が大好きで全て楽しませて頂いています。このお話は特に何回も読み直してるぐらい大好きなので更新本当に嬉しいです！ これからも応援しています！ (2020年10月26日 0時) (レス) id: cbdbde624a (このIDを非表示/違反報告)
kotorix(プロフ) - すずさん» すずさん、はじめまして。足かけ8年のこの長い物語をお読みいただき、有り難うございます。登場人物の関係性は最も大切にしている部分です。一層丁寧に描くよう心がけて参ります。次回はパートを移行して、さくら荘の住人を総動員してお届けする予定でございます(^^) (2020年10月25日 2時) (レス) id: 5cfd22b9da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kotorix
| 作成日時：2019年3月13日 10時
