57.君は君でいてほしい ページ11
虫眼鏡side
Aはそれから途切れ途切れに話し始めた。
りょうと一緒にてつやととしみつの気持ちを知ってしまったこと。
りょうが二人のどちらかと付き合うように勧めてきたこと。
虫「……」
『わたし、……りょうにだけは、あんなこと言われたくなかった……！』
今までAが泣くのを見たのは演技だけだった。
こんなに取り乱したAは見たことがない。
何年も隠して、苦しんできたAにとって、りょう本人だけには絶対言われたくなかった言葉だということは、Aの気持ちを1番そばで見てきた僕には痛いほどわかる。
女じゃなかったら、メンバーに好意を抱かれることも
女じゃなかったら、りょうに恋をすることも
どっちもなかったかもしれないのに。
みんなと、同じように男だったら。
ずっとずっと、ただのメンバーで、友達で居られたのに。
泣きながらAは、そう話した。
僕はAを引き寄せ、黙って話を聞くしかできなくて。
そんな自分が憎いと思った。
『わたし、やっぱりさ……東海オンエアに入るべきじゃなかったんだよ……』
虫「A！それは違う！」
『ううん、絶対入るべきじゃなかったんだ……私は……ここに居るべきじゃない……』
虫「A！…………僕はね、A……Aが東海オンエアに居てくれて良かったよ。Aがいなかったら東海オンエアは東海オンエアじゃなくなっちゃうよ。僕は……Aが必要だと思ってるよ。…………僕は、そのままのAが好きだよ。」
働かない頭で、必死に言葉をつなげる。
普段は言葉なんてたくさん出てくるのに。
今日に限ってろくな言葉が出てこない。
もっと、言えることがあるはずなのに。
どうして、こういう時に限って僕の頭は役に立たないんだ。
『……ありがとう、虫さん…………でもね、もう疲れちゃった……』
Aは僕から体を離し、光のない目で苦い顔をして笑った。
ああ……
もう、僕じゃ止められない。
僕じゃ、Aを引き止めることは出来ない。
そう悟った。
『……帰ろう、虫さん。ごめんね、付き合わせて。』
Aは涙を拭って僕にそう笑いかけた。
そのまま、為す術もないまま……
僕はAを家に帰した。
僕は、どうしたらいいの。
ねぇ、誰か教えてよ。
僕にできることってなんなの───？
何も出来ない自分を僕はただただ、責めることしかできなかった。
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+ちっく(プロフ) - ピアスの下りでは女は右耳、男は左耳で性別判断とも言われてますよ(･∀･)←やかましい (2019年7月8日 10時) (
レス) id: 4d74bd6de9 (このIDを非表示/違反報告)
ところてん(プロフ) - 作者様の帰りもお待ちしてます！！！小説超面白いです！！！ (2018年9月25日 1時) (レス) id: fe2831d1b4 (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！！ (2018年8月28日 7時) (レス) id: 2362667ffd (このIDを非表示/違反報告)
rairu0726(プロフ) - Knymal01さん» コメントありがとうございます。しばらく更新していなかったので、コメントがいただけると思っていませんでした。ゆっくりですが、また再開しようと思います...！ (2018年8月24日 18時) (レス) id: 201effe25e (このIDを非表示/違反報告)
Knymal01(プロフ) - 更新たのしみにしてます！！ (2018年8月17日 14時) (レス) id: 346c2647c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らいる | 作成日時：2018年3月11日 23時
