Just do it！【ヒロアカ】 (ページ43)

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殺気。

間一髪のところでワープホールを避ける。
でも目の前のトガが落ち着いたような笑みを浮かべる姿を見て、再び鳥肌がたった。

『……分かった。大人しくついて行くから。
　此処にいるみんなを。“一般市民”を傷つけないで』
「…えへへ、ヒーローごっこみたいですねえ。じゃあ行きましょうか！」

胸元に飛び込んできたトガ。首に腕を回し、押し倒すようにワープホールへ落とす。

ねじれちゃんも同じ事をするのになあ。
体が拒否をして、震えが止まらなかった。

・

洒落たバー。

ワープホールはそこの天井に繋がっていた様で。
私は咄嗟にトガを守る体制を取り、尻餅をつく様に着地した。

「えへ、守ってくれたんですね。私のこと」
『これでもヒーローの卵だからね。体が勝手に動いたの』

感じる気配はトガを含めた4名のみ。
私は態とらしく“ヒーロー”と名前を出すと部屋の温度は2、3度下がった様に思えた。

トガが上に乗ったまま辺りを見渡す。
どうやら中には黒霧と茶毘＿＿死柄木弔がいる様だ。

手の内を見せたくないのだろう。前回襲ってきたメンバーと同じ。

ヴィラン連合は少しずつ拡大を見せているのに。
主要メンバーは雲隠れした様に情報が見つからない。

重々しい空気の中、一番最初に口を開いたのは意外にも死柄木だった。

「おい…ヒーローを連れてくる時は一言伝えろって言っただろ」
「でも黒霧さんには言いました！」
「喧嘩をする前に、早くAさんの上から降りてあげてください。苦しそうですよ」

黒霧に言われてもなお、駄々をこねて動こうとしないトガを茶毘が首元を掴み投げ捨てる。

その光景は家族のようで。

……何なんだこのアットホーム感は。

意外なヴィラン連合の実態に私は少し頭が痛んだ。

小競り合いの後、死柄木のため息で再空気が凍る。
一斉にこっちを向くの怖いからやめてくれ。

やっと誰も話さなくなった所で死柄木は口を開いた。

「……報知A」
『何か用でしょうか』

「トガが五月蝿いから早く友達になってくれ」

流石に無理難題では？？？
残虐だと思っていた死柄木から友達というワードが出たことに驚きながらも私はこう言った。

『友人になるというのなら一つ条件があります。
　
　トガさんが“ヴィラン”でもなく、
　私が“ヒーロー”でもない時だけ、友人になりましょう』

トガさんは意味がわからないと言いたげな顔をしたが、
残り3人は私がなにをいいたいのかわかっているようだった。