Just do it！【ヒロアカ】 (ページ42)

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疲れた日には【ヴィラン連合】ページ42

衝撃的な出会いというのは人生で一回あれば十分なものだ。

これは出会いというより計算され尽くした計画の範囲内の出来事なのだろうけど。

記憶が改変されていなければ
私はついさっきまで衣替え用の私服を買いにショッピングモールにいたはずだ。

それを裏付けるように手に握られているのは2、3枚の服が入っている袋。

ちょっとトイレに行こうかなと思っただけなのに。
どうしてまた会ってしまったのか。

「えへへまた会っちゃいましたね！Aちゃんは元気でしたか？」
『うん、あの時の傷は痛むけど。それで今日は何のようなのかな』

先生に教えられたように“嫌味ったらしい”言い方をする。

なめられないようにとのことだが正直逆効果な気がしてならない。

冷たく言い放つのは個性の使用状況に合わせた
演技練習で何度かやったことがあるから慣れている。

でもトガヒミコは私が返事をしたことに喜んで、言葉など聞いていないようだった。

「私あの時分かったんです。Aちゃんならお友達になれるって」

何が恐ろしいってこの話を沢山の人で賑わうショッピングモールでしているということだ。
いくらこの道が薄暗く人通りが少ないからって、此処で会うとは思わなかった。

『私とお友達になりたいの？』
「はい！そしたらAちゃんもこっちにきてくれるかなって」
『でもそっちの人はさ、私の個性しか見てないんじゃない？』

普段では絶対にしない言い方。慣れないせいで少し声が上擦った。
でも、結局私の言ったことは事実に過ぎない。

ヴィランにとって私の存在価値は“個性”だけなのだ。

それなのにトガは屈託のない笑顔でこう言った。

「でも、私はAちゃんとお友達になる為だけにきたんです」

純粋で、真っ直ぐな子だと思ってしまった。私より多くの血を見ているはずなのに。
小さな子供みたいで。きっと今日もヴィランの仲間に隠して来たのだろう。

『トガさんが、ヒーロー側にきたら考えたいな』
「……ヒーローは嫌いです。助けてくれませんから」
『だけど、私はヒーローだよ。トガさんと戦う日がくるかもしれない』

「いいえ、Aちゃんは絶対にこちら側です。
　Aちゃんの個性、私たちだけが受け入れられるんですから！」

自信満々にそう言い放つ彼女。
花が咲いたような可愛い笑顔なのに、引きずりこもうとする残虐性が見え隠れして。

「もうチョット、話し合いましょうか！」

真下に開かれたのはワープホールだった。