子守体験【天喰】 ページ37
＊女体化なので、同性愛表現があります。
決して差別を助長するものではありません！
……………
環くんから“早く来て”というLINEが来てから、もう3分も経った。
居場所までは教えてくれなかった環くんを、
校舎中を駆け回りながら探す。
先生に何度か止められながらも、色々な人に情報をもらいながら私は彼を探し続けた。
もう1時間目が始めると言うのに、誰も彼を見ていない。
でも玄関の靴があるんだ。絶対に校舎内には入っている筈。
3年A組＿1年C組＿職員室＿＿男子更衣室など以外は全て回ったのに、環くんはいない。
だとすれば、
『奥の空き教室…』
あの埃まみれの部屋に呼ぶ環くんは想像できない。
恐らく誰にも見られたくないような事件が起こってしまったのか。
授業のチャイムがそろそろ鳴る。
先生とミリオくんたちは彼のプライバシーを尊重して、
環くんを私に任せてくれた。
恐る恐る近づいた空き教室の扉を開く。
「ひ、何だAちゃん…か……」
『…………』
目の前にいたのは、環くん似の美少女。
＿＿お前もかい！！という言葉は飲み込むことにした。
嗚呼、私たちは誰かに狙われているのだろうか。
ねじれくんに続いた被害者、環ちゃんに頭を抱える。
無言で崩れ落ちた私を見て、
環く……ちゃんは恥ずかしそうに私の手を掴み、支えようとしてくれる。
中身が環くんにしては大胆だなと思いながら、私は彼女の話を聞いた。
＊＊＊
『で、ねじれちゃんの時の犯人にまたしてもやられたと』
「ごめん……迷惑かけて……」
『ううん全然。だから恥ずかしがらないで、私が泣きそうになる』
何故恥じらう姿も様になるのか。嗚呼、顔面の暴力に泣きそうだ。
環ちゃんが言うには、
ミリオくんはその場の状況ごと楽しみそうだから駄目。
ねじれちゃんは着せ替え人形にするから駄目。
「お願い、頼れるのがAさんしかいないんだ」
『やばい美少女に手繋がれてる……しんどい……』
「話聞いてる？」
顔をじっと見られるのが恥ずかしいのか、環ちゃんは私と手を繋いだ手と逆の手で顔を覆う。
赤面している姿は其処らへんのアイドルよりも可愛らしい。
……本気で泣きそうになってきた。
近づけられた顔からは造形の美をひしひしと感じる。
「もう、こっちは本当に困ってるのに」
『無理可愛い』
「Aさん、怒るよ」
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作者名：花氷 ベタ | 作成日時：2022年10月1日 18時
