Just do it！【ヒロアカ】 (ページ35)

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彼に教えてもらった情報は、
人質の店員の苗字が“斉藤”であること。

店には子供が3人いること。
犯人がナイフしか持っていないことを教えてもらった。
身長が高いってやっぱり有利。

「……絶対に成功させましょう」

『勿論。ヒーロー科として全員助けよう。
　ヒーローはすぐに着く筈…後７分はかかるだろうけど』

「それだと犯人は逃走するっすね」

全員、守りきる。

言い聞かせる様に、そう繰り返す切島くん。
合図は短針が12を指した時。

3

2

1

『店員の斉藤さん、地面に手をついてください！』

急に商品棚から飛び出した私を見て、驚いた犯人は足取りをほんのり崩す。
斉藤さんは前に倒れ込む様にして、床に手をついた。

「おっらああ！！！」

間髪入れずに、切島くんが私のバックを相手の顔に投げつけた。

流石男子と言うべきか。
私の教科書たっぷりの重い鞄は鈍い音を立ててぶつかった。

その投げた勢いのまま、切島くんは犯人の懐に飛びこむ。

バックをぶつけられた勢いでナイフは床に落としてあったので
私はそれを蹴飛ばし、相手を拘束した。

切島くんの追加の一撃がよほど効いたのだろう。

犯人は錯乱状態で脳震盪こそ起こしていないものの、混乱しているのが見て取れる。

『店員さん、縄などの縛れる道具を持ってきてください』

「び、ビニール紐でも大丈夫ですか？」

『はい。できれば多めで』

斉藤さんは解放

お金を詰めていた店員が奥の方から撮ってきてくれたビニール紐で
足首と手首を中心に、抵抗できない様巻き付けた。

遠くからパトカーのサイレンの音が近づいてくる。

私は安堵から、大きく息を吐いた。

＊＊＊

「いやあ君たちお手柄だよ！
　前の事件もそうだが、今回も本当に助かった」

そう言い駆けつけてくれたヒーローに頭をくしゃくしゃにされる。

褒められている筈なのに、なぜか素直に喜ぶ事はできなかった。

犯人は無事パトカーで連行されていったのに。
お客さんは全員無事なのに。

「Aさん、浮かない顔ですけど……」

『あの犯人は無個性だった。
　個性をあんなに怖がっている犯人を、私たちは暴力で鎮圧してしまった』

オールマイトだったら、プロヒーローだったら。
もっとより良い解決ができたのではないかと、今になって思う。

私の作戦は暴力を暴力で返しただけ。

しかもそれに切島くんを使ってしまった。