Just do it！【ヒロアカ】 (ページ31)

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↓【遠形】ページ31

A視点

夜の12時1分。

ほんとうはもう寝なければ行けない時間だが、
今日は“ミリオくん”が来る気がして、どうしても寝る気になれなかった。

何にも約束していない、ただの予想。

だから本当に彼が来てくれた時は驚いたし、嬉しかった。

トントンっと窓を叩く音が静かな夜に響く。

何度も続くそれに、その音が私の窓を叩く音だと気づいた。

期待半分、嬉しさ半分。

カーテンを思い切り開けて、真っ先に目に入ったのは
鼻を真っ赤にしたミリオくんが壁に張り付いている様子だった。

「メリークリスマス。会いに来ちゃった」

『ミ、ミリオくん…！？
　寒いでしょ、中は入る？』

急いで窓を開けて彼と会話をする。

私の問いに彼は、
「プレゼントを渡しに来ただけだから」と笑った。

バレたら怒られるに決まっているし、
寒い夜に動くことが危険なのは彼も分かっていたはず。

それでも会いに来てくれたのが少し照れ恥ずかしくて嬉しかった。

私の手の上に置かれたのは、私の趣味に合った髪飾り。

「何が好きなのか、知らなかったからさ」

『……嬉しい！丁度こういうのが欲しいなって思ってたから、本当に嬉しいよ』

私の返事に満足して帰ろうとするミリオくんを慌てて引き止める。

きょとんとした顔の彼がおかしくって。
少し笑いながら私は彼の手に小さな箱を握らせた。

「これって俺のために！？」

『声大きい。
　うん、そうだよ。気に入ってくれたら嬉しい』

「気にいるに決まってるよ！
　寮に戻ったら大切に開けるね」

今度こそ本当に帰ろうとしたミリオくんが名残惜しげにこちらを見る。

しばらく見つめ合った後、
ミリオくんは眩しい笑顔で手を振り私の視界から消えた。

＊＊＊

「(あんな夜遅くまで起きて、俺のこと待っててくれたのかな)」

「(いっちゃえばよかった。君が好きだから待てなかったって)」