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何故私たちがヒーロー科に所属していると分かったのか。
恐らく私か環くんのどちらかを、テレビで見てくれていたのだろう。
彼の個性は入試と酷く相性が悪かったのを覚えている。
相澤先生が、ぼうっと呟いていたからだ。
「お前に似た奴がいる」と。
私も彼と同じだった。入試試験は惨敗。
周りの子がヒーロー科として活躍する中、置いていかれる恐怖。
分かるよ、とは軽率に言えなかった。でも背中ぐらいは押してやりたい。
「お前に言うのも何だが、アイツのこと少し頼むぞ」
できるかな、私に。
劣等を抱える少年に、私は口を開いた。
「個性が戦闘向きだからってだけで……何でこんなに…」
『個性は戦うだけに使われるだけじゃないよ。
君の個性は慣れるまでは、サポートに向いている』
「…知ってるんですか？俺の個性」
『私と似てるからね！むしろ私よりも使い勝手がいいよ』
環くんは空気を察したのか、少し先で待ってるとだけ残し、場所を離れてくれた。
そんな彼に“ありがとう”と告げ、私は再び心操くんに向き直る。
彼は怪訝そうな顔を私に向けたままだ。
「怖いと思わないんですか？」
『此処にいる人たちは、人を殺せる個性を持っている。
私もだし、さっきまでいた後ろの人もだよ』
「でも、俺はヒーローに向かないから……」
そんな彼に一年生の時の自分を重ねる。
そっくりすぎて、少し怖いぐらいだ。
華やかなA組やB組が酷く羨ましくて、妬ましい時期もあった。
でも、ヒーローになりたいという思いはそれを大きく上回っていたから、
『普通科でもね、優秀な成績を残せばヒーロー科に編入できるの。
前を向いて、努力すれば、自ずと道はできるから』
「！」
『応援しているよ！』
口を開こうとしている彼に、私は背を向ける手を振りながら環くんの元に向かった。
「かっこいいね」と、と微笑んだ彼に笑みが溢れたのは秘密。
＊＊＊
「Aさんはかっこいいね」
『恥ずかしくなってきたからストップ。いつもの2人には言わないでよ！』
頭を抱える私に、環くんは「言わないよ」と言いながら私の袖を引っ張った。
次に行こうという合図なんだろうが、女子より可愛い。
次はB組だ。確か渡す相手は、拳藤一佳ちゃん。
確かしっかりした姉御みたいな子だったから、普通に終わるだろうと思ったのに…
「おやおや、A組諸君じゃないか！！こんなところで…」
どうしてこうなるんだ。
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作者名：花氷 ベタ | 作成日時：2022年10月1日 18時
