Just do it！【ヒロアカ】 (ページ16)

今日:23 hit、昨日:101 hit、合計:16,776 hit

↓ ページ16

「まずは彼女を解放してもらおう！」

そう言い終える前に、オールマイトは拘束具を壊し、私を抱えていた。

今の状況の理解ができない。
まさか彼が助けにきてくれるとは思わなかった。

安心すると同時に、戦力に穴をあけたことへの焦りがわく。

「黒霧、」

男がそう命令すると、ワープゲートが現れヴィラン連合は消えていった。
オールマイトも流石に追うような馬鹿な真似はしない。

奥から現れた警察やその他プロヒーローを見て、
私1人にそんな人材を派遣してくれたと思うと……不甲斐なさと感謝が溢れる。

「A少女、よく頑張ってくれた！」

やっぱりヒーローは凄いよ。

この一言で、私の努力も恐怖も全て包んでくれる。

大きな怪我はしていないのに、
こんなに焦ってくれるという事実が、少し可笑しくなった。

結局、何にもできなかったなあ。

＊＊＊

プロヒーロー視点

「救急車はまだ！！？このままじゃ助からない！！！」

「意識がない！おいしっかりしろ！！」

「心拍数が減少中！心臓が止まる可能性があります、AEDの準備をしてください！！」

皮膚はえぐれ、血だらけの彼女。

火傷で片目を開けられなくなった彼女。

腕は見るにも耐えない方向に曲げられ、至るところにあざがある。

いつ痛みから気絶してもおかしくなかった。

しかしそれでも意識を持ち続け、ヒーローであり続けた彼女。

＜自分の身は、惜しくない＞

ヒーローなら誰しも思っていることだが、

それをまだ子供の彼女がいうとずいぶん辛いことのように思えた。

今回、潜入調査の作戦を考えた奴は、ヴィラン連合の仲間だった。

彼女は、内通者として疑われていたという事実を利用したのだ。

編入、最近の性格の変化、そして＿＿＿個性。そんなくだらない事から疑われた彼女を思い出す。

“だからって、あまりにも残酷だ”

作戦会議に参加したヒーローの、全員の叫び声を思い出す。

それでも奴を止められなかった。

ヒーロー失格だと思いながら、自身の手に視線を落とした。

内にいる悪の存在に気付けないまま、彼女を危険に晒したのだ。

オールマイトのような圧倒的な存在がいなければ、
この場は沈静化できなかっただろう。

しかも奴が、雄英に流そうとしていたのは嘘の調査内容を報告。

＿＿彼女は、ただ個性を使わされるヴィランに成り果てただろう。