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カランコロンと、可愛らしいベルの音が鳴った。
入った瞬間、女性陣の目線はねじれくんに釘付けになる。
私の存在に気づくと、諦めたように視線を元の位置に戻した。
いや、一部は諦めていなさそうだが。
ねじれくんは基本喋らせないようにしている。個性事故とバレてしまうからだ。
……と言っても我慢できずに喋るのねじれちゃん(くん)らしくていいけどね！
あのおじさんがいう通りならば、このいつも通りのねじれちゃんが“本音”という事になる。
それは正直、だいぶ嬉しい。
「いらっしゃいませー！2名様ですね。こちらにどうぞ！」
そう言い案内されたのは、明らかに狭いテーブル。
……カップルと勘違いされているのでは？
まあされても中身はねじれちゃんだし、当たり障りはない。
私はねじれくんの「なんでテーブルが狭いの？ねぇねぇ」
という疑問にこそっと答え、席に座った。
目の前の人物は今の状況を最大限に楽しんでいるようだ。
楽しそうにドリンクを選んでいる光景は、本当に絵になる。
その後パフェも頼んだし、思った以上に大満足できたー
が、私がトイレに行った時、予測していた事態が起こった。
「お兄さんかっこいいですね！恋人はいるんですか？ほんと、モデルみたい〜」
案内してくれた店員さんがねじれくんに絡み始めた。
カップル席に案内したの貴方じゃん！と思いながら、私はその光景を遠くから見守る。
大丈夫。ねじれちゃん(くん)は幾度となく同じ状況に陥ってきて、見事にかわしてきた。
「ありがと〜！ねぇねぇ、そのふわふわの髪の毛ってどうやってるの？不思議！
あ、聞いて知ってる？昔私も真似しようとしたんだけどね！髪の毛がねじれちゃって、」
ねじれくんのマシンガントークに若干……いやだいぶ押され気味の店員さん。
さらに続く質問の嵐に諦めて退散していった。
その光景を見てこっそりガッツポーズをする私。
ねじれちゃん(くん)に手を出すなんて一億年早い。
満足した後、私はトイレから出て彼に声をかけた。
『ごめんね。遅くなっちゃった、』
「待ってないよ！じゃあ出よっか！
あ、ねぇねぇ見てみて。これ、さっき面白いの見つけてね、」
この嵐をさばけるのは私たちぐらいなのかなと思うと、少し優越感に浸れる。
これが無自覚なのだから恐ろしい。
『個性っていつ解けるんだろうね』
「えー私もう少しこのままがいい！Aちゃんの反応可愛いんだもん」
『ね、ねじれちゃん？！』
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作者名：花氷 ベタ | 作成日時：2022年10月1日 18時
