242…Kaito side… ページ42
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『廉が謹慎になったときのこと覚えてる？
いつめんがバカにされたことにも
私が桃香ちゃんにバカにされたことにも怒って後輩殴って
廉があそこまで友達思いだなんて知らなかった。』
そうだった、俺たちの中で一番仲間思いなのも
実は廉だったりするんだ。
『私ね、廉と喧嘩したことないの。
いつも受け止めてくれる。
紫耀が戻ってきたときだって、大丈夫やで。って。
安心させてあげなきゃいけないのは私なのに
廉は本当にいつでも優しいの。…なのに私、』
速度を落としていくAの歩幅
俯いたその顔に長い前髪がかかって
ギュッと噛む下唇だけが見える
『…どうしよう。』
ゆっくりと顔を上げて苦しそうに歪ませて
俺の半袖の袖口をギュッと掴んだ
『また私に笑って、って…。』
「…っぇ？」
『紫耀が笑っとって、ずっと。って。』
知ってる。
その言葉は告白や別れの言葉よりも
Aの胸を締め付けるってこと
その言葉が告白以上の意味を持つことを
大人になった俺たちは知ってる。
あの頃は気付けなかったけど
やっぱり紫耀は何年経った今でもAのこと、
『廉のこと大好きなのに、なのに私…。』
袖口をギュッと掴んだAの腕が
スルスルと俺の腕を辿って力尽きる
ストンと落としたAの視線
それを追いかけるように流れる涙
「分かってる、大丈夫、大丈夫だから。」
腕を回して包み込んだAが
こんなに小さかったこと、知らなかった
『っ、麗香ちゃん告白しない、って…
私、最低なんだよ、それ聞いて安心したんだよ…。』
小さく震えながら精一杯声を絞り出して
声を押し殺しながらひたすらに涙を流す
「A、大丈夫、分かってるから。」
なんて声をかけたらいいのか分からなくて
俺の胸で震える背中をさすりながら
大丈夫、分かってるよ。ってそれしか言えなくて
“Aはどうしたいの？”
廉に想いを告げられたAにかけた言葉
その言葉さえあの頃みたいに言えなくて
だって、その言葉はもっとAを追い詰めちゃう
失ったものをやっと取り戻して
無条件に包んでくれる愛情があって、なのに
消えたはずの、しまったはずの想いが溢れて
自分への焦りと廉への罪悪感
けどAは悪くない。
紫耀も、廉だって。
…誰も責めることなんでできない。
淡い紫色の空と青い海
…空なんて大嫌いだ。
Aが泣いてる時、いつも綺麗だから。
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Koko(プロフ) - 読んでいて止まらない！ドキドキしてワクワクしてヤバイくらいです。 (2019年2月27日 8時) (
レス) id: 6359401af5 (このIDを非表示/違反報告)
海羅(プロフ) - MIZUHOさん» MIZUHOさん、いつもコメント頂きありがとうございます。最初から長いお付き合い、本当にありがたく、またとても心強いです。これからも心に響く作品になるよう頑張りますので、是非最後までよろしくお願い致します。またコメントもお待ちしてますね。 (2018年2月26日 22時) (レス) id: 3f3c8daa7f (このIDを非表示/違反報告)
MIZUHO(プロフ) - こんばんは。この作品の初めから全て読ませていただいています。読んでいてすごく感情移入？出来るくらい心に響いていつも楽しみにしています。第6弾も楽しみにしています！ (2018年2月26日 20時) (レス) id: 2f213f30c3 (このIDを非表示/違反報告)
海羅(プロフ) - しのさん» しのさん、コメントありがとうございます。長編作品が故の不安もある中とても嬉しいお言葉ありがとうございます。これからもお付き合いよろしくお願い致します。第6弾は本日中に公開予定です、混乱させてしまい申し訳ありません。また是非コメントもお待ちしてますね。 (2018年2月26日 16時) (レス) id: 3f3c8daa7f (このIDを非表示/違反報告)
海羅(プロフ) - ぬれおかきさん» ぬれおかきさん、コメントありがとうございます。こちらの手違いで更新にミスがあり、本日中に第6弾の公開を予定しております。混乱させてしまい申し訳ありません。作品、楽しみにしていただいて嬉しいです、ありがとうございます。またコメントもお待ちしてますね。 (2018年2月26日 16時) (レス) id: 3f3c8daa7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海羅
| 作成日時：2017年9月20日 15時
