涙 ページ35
2019年6月
珍しく早く打合せが終わって、一人で街をぶらぶらしてると、声を掛けられた。
【樹?樹だよね?
久しぶりじゃん。なんで、最近連絡くれないの〜?】
彼女と出会う前、適当に遊んでた女が俺の腕に自分の腕を絡ませて、胸を押し付けながら話している。
俺はその手を振り払いながら、女と距離を取った。
『俺、今本命いるから。
その人の事、裏切りたくないんだよね。』
【え?マジじゃん。そういうの似合わないよ。】
『うるせぇ。』
【じゃあさ、また遊びたくなったり、別れたりしたら、連絡ちょうだい。】
そう言って、離れ際に俺の頬に軽くキスをしてから手を振って去って行く女。
いや!別れねぇ〜し、遊びたくもねぇ〜し、遊んでた時は、ほっぺにちゅーなんて、挨拶くらい にしか思ってなかったのに、今は彼女以外の人のそれは、吐きそうなくらい気持ち悪くて、頬に残るピンクの口紅を嫌悪感と共に拭き取った。
早く彼女に会いたいなぁ〜。
家で待ってようかな?と思っていると、舞台でコンサートのリハに顔を出せないきょもから、ビデオだけじゃわかりづらいから、個人リハに付き合って欲しいとLIN〇が来たので、リハーサルスタジオに行くと、ドラマの撮影で忙しい慎太郎以外は全員居て、軽くフォーメーションを確認しながらリハをしてたら、遅くなってしまった。
早く会いたくて彼女の家に急ぐと、彼女の部屋の灯りは点いていて、更に足を速めた。
いつものように合鍵を使って扉を開けたら、無情にもドアロックに阻まれる。
彼女は眠る時もドアロックなんてしない人で、今日に限ってなんで?って思いが渦巻く。
『椿さ〜ん。開けて〜。』
部屋の中にいるはずの彼女に僅かな隙間から呼びかけるけど、一向に玄関に来る気配はない。
どういう事?気付いてないの?いや、あり得ないよね。念の為、インターホンを押してみるけど、やっぱり反応なし。
風呂?いや、シャワーの音してないよな。
一旦、扉を閉めて彼女のスマホに電話をすると、すぐに通話になった。
『なんで無視すんの?』
「自分の心に手当てて聞いてみれば?」
それだけ言って電話は切れてしまった。
どういう事だよ。俺、何もしてないよね?
訳わかんねぇ。何怒ってんだよ。
255人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らいち(プロフ) - 香月さん» いつもコメントありがとうございます。急展開でしたよね。でも、最後は自分の中では決まってたんです。アナザーストーリー!ちょっと頑張ってみます。お楽しみに!! (2020年3月27日 21時) (レス) id: d866c6ffd1 (このIDを非表示/違反報告)
香月(プロフ) - らいちさん» 完結おめでとうございます!急展開にびっくりしましたが最後はハッピーエンドでなによりです…◎ ぜひぜひ裏込みでアナザーストーリー出していただけると嬉しいです! (2020年3月26日 22時) (レス) id: 8c34f4e54d (このIDを非表示/違反報告)
らいち(プロフ) - 香月さん» 素敵なコメント、ほんとにありがとうございます。アナザーストーリー!なるほど!!では、ちょっと考えてみますね。でも、自信ないなぁー。 (2020年3月24日 22時) (レス) id: d866c6ffd1 (このIDを非表示/違反報告)
香月(プロフ) - らいちさん» せっかくきれいな文章なので、そういったシーンを書かれてもチープというか下品な描写にはならないだろうなあと思いまして。完結後にアナザーストーリー的な感じでもいいので余裕があるようでしたらぜひ読んでみたいなあと思います! (2020年3月24日 20時) (レス) id: 8c34f4e54d (このIDを非表示/違反報告)
らいち(プロフ) - 香月さん» とても嬉しいコメント頂き、ありがとうございます。そうですね。書く予定は今のところはないですね。このまま、ぼかしていきたい感じではあります。書いた方がいいですかね? (2020年3月24日 12時) (レス) id: d866c6ffd1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らいち | 作成日時:2020年3月14日 21時