67.思惑のその先 ページ15
-佳織 side-
ちゃんとした確信は無かったけど、反応を見れば分かった。
この謎の女性は、Aの近親者だろう。
(韓国語も話せるって事は、噂で聞いていた義理の姉ってところか…。)
自ら自己紹介すると、案の定顔色が変わった。
確定だ。
この人に言った、“心配してる”って言葉は本心。
だって、Aには元気になって貰わないと困るから。
ミン・ユンギがいくら心理学の勉強をしていても、私に敵うわけがない。
そもそも、目的が違うのだから。
ミン・ユンギは人を助ける為の心理学、カウンセラーを目的としてる。
私は別にカウンセラーになりたい訳じゃない。
人の幸せが許せない。
特にAの幸せは…
私のは心を壊す為の心理学。
心理学の勉強を本格的に始めたのは、Aが前の職場を辞めてから。
Aが辞めてから、とてつもない喪失感が私を襲った。
何故か分からないけど、Aじゃないと駄目だった。
秀人の言う通り、私はAに執着している。
恋愛にも似たような、でも恋でも愛でもない、歪な感情が生まれていた。
…………………………
「…これはこれは、お揃いで。」
JN《ユンギ…これは一体…》
JK《…ストーカー?》
「何で此処におるん…?」
「何で?理由が必要ですか?
食事しに来たところに、たまたま貴方達も居ただけの事でしょう?
私が此処に来ちゃいけない理由でも?」
「…それは、そうやね。
でも、何でうちが怒ってるか分からん訳無いよな?
あんた、Aちゃんにしてきた事、自分で悪い事やって分かっとる?」
「悪い事…なんでしょうね、一般的には。
でも、私にはそんな一般論は関係無いんですよ。
この際だから、此処にいる皆さんにお伝えしておきますね。
あの子を守る為には何をしなきゃいけないか…
それをよく考えて下さい。
壊れちゃったらつまらないから…」
《「…………」》
私は一旦個室に戻り、連れに帰る事を告げる。
丁度そこに店員がやって来て、先程注文していた物を置いていく。
その店員を捕まえ、ペンを借りた。
紙ナプキンに自分の番号を書き、小さく畳んで右手に忍ばせる。
個室を出ると、まだ呆然と廊下に佇む彼ら。
私は、その横を通り過ぎる。
ジミンの着ていたパーカーのポケットに、紙ナプキンに書いた番号をこっそり入れた。
(さて…どうなるかな。)
私はワクワクしていた。
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姫星(プロフ) - 初めまして!お話読ませて頂きました。すごく面白くて大好きです!もしよろしければパスワードを教えて欲しいです。よろしくお願い致します。 (2021年10月9日 20時) (レス) @page13 id: b0f4fa90f5 (このIDを非表示/違反報告)
Miyoshi(プロフ) - libicalさん» 初めまして!コメントありがとうございます!パスワードはメッセージに送らせて頂きました。ご確認下さい☆ (2021年9月24日 11時) (レス) id: 8b7a46973a (このIDを非表示/違反報告)
libical(プロフ) - 初めまして。お話読ませて頂きました。すごく面白くて、お話に引き込まれてしまいました。もし、よろしければ続きを読ませていただきたいので、パスワードを教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。 (2021年9月24日 7時) (レス) @page5 id: 412d77e60a (このIDを非表示/違反報告)
Miyoshi(プロフ) - minhoさん» 初めまして!面白いと言って頂けてとても嬉しいです(#^.^#)メッセージをお送りしたので、ご確認下さいm(._.)m (2021年7月27日 1時) (レス) id: 8b7a46973a (このIDを非表示/違反報告)
minho(プロフ) - はじめまして、凄く面白くて一気に読ませて頂きました!よろしかったら4のパスワードを教えて頂けないでしょうか? (2021年7月26日 22時) (レス) id: fefe1bf8de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Miyoshi | 作成日時:2021年4月9日 2時