天才は今日も音を彩る2【アイナナ】 (ページ45)

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87話ページ45

天side

理｢…っ、ない…。どこいっちゃったんだろう。…落としちゃったのかな…。…もしかして、あの時…｣

横で、妹(・)の理が何かを探していた。

｢何してるの？｣

理｢天さん…あっ、お兄ちゃん…。大事なものを無くしちゃって…｣

｢一緒に探してあげようか？｣

理｢大丈夫です。思い当たる場所を探して来ます｣

｢あまり出歩くと、九条さんに叱られるよ｣

理｢はい…、お兄ちゃん…｣

｢無理にお兄ちゃんなんて呼ばないで。理とは去年会ったばかりだ。天でいいよ｣

理｢…天さんは、どうして、九条さんの養子になったんですか？｣

｢キミは？｣

理｢…九条さんが養父の借金を肩代わりして、私を引き取ってくれたんです。九条さんがいなければ、私も家族も路頭に迷うところでした。とても、感謝しています…｣

そうか、この子も＿＿＿＿。

｢そっか…。ボクも似たようなもの｣

そしてボクは、理に話した。

借金を九条さんが肩代わりしてくれたこと

病気の弟がいること

理｢そうだったんですね…｣

｢ボクは弟はいたけど、妹は初めてだ｣

理｢私は2人目のお兄ちゃんです｣

｢そう…。変な家族だよね、ボクたち…｣

理｢そう、ですね…。あ！そういえば、九条さんから聞きました？｣

｢何を？｣

九条さん…何か言ってたっけ？

理｢天さんにはまだ秘密って言われてるんですけど…｣

｢…それをボクに言ったらダメじゃない？｣

理｢あ｣

｢ふふっ…｣

なんて言うか、天然なんだよな。この子…

理｢…ここまで来たらもう言っちゃいます！…九条さんが私たちに、家族が増えるかもって言ってました｣

｢…えっ？｣

理から聞いたことは想像を超えていて、言葉が出てこない…。

｢どういう、こと…？｣

理｢まだ、相手の方は承諾していないらしくて、決定ではないって言ってました。なんか警戒されてるらしくて…｣

｢……その人の名前、もしかして聞いてたりする？｣

嫌な予感がする…。

理｢えーと、確か…夢宮 Aさん、って言ってたような気がします｣

やっぱり…

理｢しかも、その方は前に九条さんの養子だったそうなんですけど、途中でどこかに逃げてしまったらしいんです｣

｢…｣

理｢九条さんは、その方のことをすごく気に入っているそうで、また養子にしたいって言ってました。九条さんがすごく褒めるので、私すごく会ってみたいです｣

｢…そう、だね…｣

理｢…この話、私から聞いたって内緒ですよ？｣

｢うん、分かってる…｣