天才は今日も音を彩る2【アイナナ】

69話 ページ22

天｢ファンを悲しませることはしない。ファンと交わした約束は決して破らない。アイドルなら当然のことだよ｣

陸｢…約束…？｣

天｢コンサートチケットだ。その日、必ずそこに行って、ファンのために笑顔で全力を尽くす約束。…キミは約束を守れない。これまでも、これからも｣

陸｢…｣

陸くんは、天くんの言葉が余程辛いのか、顔を歪める。

天｢陸は一生懸命ないい子だよ。だからこそ、走れなかった弟のことは忘れて、キミのことをライバルだと認めた。…だけど、この前のライブとリハで確信した。陸にこの仕事は向いてない。陸も陸のファンも不幸になるだけだ｣

陸｢…｣

天｢ボクが家を出た理由を、知りたいって言ってたでしょう？…教えてあげるよ。父さんの店がお客さんを楽しませる責任を忘れたからだ。両親の店がなんで潰れたと思う？｣

陸｢…お金に困ってる時に、九条がやってきて、圧力をかけたから…｣

その言葉に、手に力が入る。

そんな事までしてたの？九条……

天｢違う。経営に困った店の空気に、ダンサー達が影響されたからだ。…九条さんに最初は反発した。だけど、彼にプロの世界を見せてもらって、目が覚めたんだ｣

陸｢……｣

天｢もう一度だけ言うよ。陸はこの仕事を全う出来ない。アイドルは辞めた方がいい｣

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