７４ ページ25
.
その事実を、自分の無能さを、きっと私はこれからひどく恨むことになる。
「そこで分かったことがまず一つ！
彼ら…我々国はクランウェルとどうも友好的な関係を望まないらしい」
「我が優秀な部下、ファラムが調べてくれた。」という台詞を含め、さっきとはまた違う疑問を表す声が思わず『ぇ…』と口から出た
「彼のこの婚約の裏には政治的策略が張り巡らされていたのだ。将来、この土地を我々国の植民地に、民達を労働力の膨大な糧に、王族の血を我がものに…とな」
違う、違う
「我が愛しの妻ローサとの大切な娘であり、この国の未来を担うAを彼奴らは政治の道具として利用しようとでも思っているのだろうか！甚だ遺憾である！」
民からは、どよめきの声があがる。「なんて事だ」「ありえない」「私たちはどうなるの」「巫山戯るな、」など、その感情は恨み辛みで様々だ
そんな中、私は疑問符で脳内が埋め尽くされている
(お父様は、何をおっしゃって…)
あの日…私が夜に偶然聞いてしまった“あの話”とは内容が全て異なりすぎているのだ
ファラム宰相の話によれば、グルッペン総統が私に婚約を申し込んだのは言わば“興味”から
我々国はクランウェルに対し政治的利益を今のところは何も考えていない、と…真偽はわからないがそう言っていたと
それに…自分で言うのもなんだが、お父様の言っていることは殆どこの世では当然のことだった
“この婚約には政治的策略が張り巡らされている”？当たり前だ、そうでなくてはただの意味の無い恋愛結婚だ
“国の王女の婚約”というものは例外を除き政治的策略がなければ意味が無い、そこに友好も何もないだろう
お互いの利益を優先しているのだから
(それらを私にきちんと教えてくださったのは…)
紛うことなく…お父様とお母様なのに
私達のような身分のものからすれば、お父様の言葉は様々な矛盾があった
けれど、今この場にいるのは薄暗い世界とは程遠い平和な暮らしをする民。国に忠誠を違う騎士。
全て…お父様の手中にいる人間のみ
彼らはきっと…お父様の掌の上で、踊らされている
戸惑い、嘆き、怒る民達を尻目に見つつ、お父様はまるで畳み掛けるように近くに控えていた臣下からいくつもの紙束を渡され
「民よ！怒れる気持ちのまま、これを見よ！！」
それを、辺りにバラ撒いた。風を利用しながら紙が宙をまいながら民達の元へと運ばれていく
それらの中の一枚が私の足元へ落ちる。
その紙に貼られていたのは_
『……え？』
私と…ゾム様の、写真だった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 865人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し - 皆さんの魅力を引き出す素敵な作品ですね！ストーリーの構成や展開、比喩や日本語の使い分けに心を打たれました。そして続編に行くタイミングが絶妙でより続きに興味を引かれました。まだ続編があるのにも関わらず、コメントしてしまいすみません。お返事は結構です。 (7月20日 21時) (
レス) @page50 id: 0a21e3f2e5 (このIDを非表示/違反報告)
レッドウルフ(プロフ) - NikaRaysさん» ありがとうございます！わ、分けるほどの文才なんて私にはございませぬですよ…しかも天才だなんて…！？全員の魅力をきちんと引き出せているのなら幸いです！これからも是非ともよろしくお願いします〜 (2022年7月22日 20時) (レス) id: 704b4d5265 (このIDを非表示/違反報告)
NikaRays - 好きです。文才分けてください。そして大好きです。全員の魅力を最大限に引き出している。天才ですね、好きです (2022年7月21日 13時) (レス) id: 6125a03033 (このIDを非表示/違反報告)
奥山乃愛(プロフ) - おーいgrさん？cn絶対許さへんで？私も許さへんけど…… (2022年5月23日 5時) (レス) @page50 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ｸﾞｱｯついに言った、言ったぞ!!やっべぇ心臓が発作おこしちまうぜ。(テスト明けと大会二日連続で眠くて頭おかしいです。) (2022年5月22日 22時) (レス) @page50 id: 98cd497361 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レッドウルフ
| 作成日時：2021年11月26日 22時
