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チーノが、クランウェルを裏切った
いや“裏切る”という表現はおかしいのかもしれない、なぜなら彼は元からこの国に忠誠など誓ってはないのだから
彼が忠誠を誓うはこの世でただ１人
『グルッペン・フューラー…』ﾎﾞｿ
“我々国のみ”なのだから
いつか、いつか来るとわかっていたチーノとの別れの日がこんな突然に来るなんて…けれど存外思っていたよりもあっさりとしているものだ
彼にとっての私なんて潜入先で利用する人物、それだけだったのだから訳もないけど
「つきましてはA王女に、ルイス国王陛下、ローサ王妃より言伝を預かっております」
『！…お父様達はなんて？』
「はい。至急正装に身を整え“大聖堂”に来い。とのことです」
(大聖堂へ…？)
大聖堂。そこは我がクランウェル城に併設された聖域の一つだ
我が国の国王即位や、王座の婚姻、婚約などの儀式、王から民への宣言や国を挙げて行う行事、その多くがこの“大聖堂”という場で行われることになっている
この状況での大聖堂への緊急収集…ふと嫌な予感が頭をよぎる。いやまさか、そんな無謀なことをするなんてありえないだろう
ｺﾝ ｺﾝ
「お嬢様、失礼します」
再び私の部屋へメイドが朝より多いの人数でゾロゾロと訪れ私の身なりを正装であるドレスへと切り替えるのを眺めつつ願う
(どうか何事も、起こりませんように…)と
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「今から何の話をされるんだ？」
「検討もつかないわ…物価の値下げだったら嬉しいけど」
「噂に聞いたとこだとA第一王女サマの婚約発表とか言ってなかったか？」
「おぉ！そりゃ良いじゃないか。でもなぁ、俺にはそんなめでたい雰囲気には見えんぞ」
緊急収集。その言葉に従い、ここ“大聖堂”には多くの民がひしめき合い集っていた
民達だけでは無い。城の兵士や使用人、騎士達もまたそこには集い、集まった民を眺めるようにしてその場に立ち並んでいる
不安、期待、困惑、そんな様々な騒めきを民が零す中…その場の空気を切るようにラッパの音が響く
「ルイス国王陛下！ローサ王妃！A王女！ご参上であります」
その言葉と共に私たちは彼らに姿を現した。刹那、場にいる全員の口が一斉に閉ざされる
沈黙がキィィン…と、無音という名の音となり、耳を強張らせた。全員が私たちの一挙一動に目を凝らし、耳を澄ませ、そして口から放たれる言葉を待っているのだ
その期待の中でお父様が玉座である中央の椅子へ、お母様がその右側に、私が左側に座る
…これで、場が整ったと言えるだろう
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名無し - 皆さんの魅力を引き出す素敵な作品ですね！ストーリーの構成や展開、比喩や日本語の使い分けに心を打たれました。そして続編に行くタイミングが絶妙でより続きに興味を引かれました。まだ続編があるのにも関わらず、コメントしてしまいすみません。お返事は結構です。 (7月20日 21時) (
レス) @page50 id: 0a21e3f2e5 (このIDを非表示/違反報告)
レッドウルフ(プロフ) - NikaRaysさん» ありがとうございます！わ、分けるほどの文才なんて私にはございませぬですよ…しかも天才だなんて…！？全員の魅力をきちんと引き出せているのなら幸いです！これからも是非ともよろしくお願いします〜 (2022年7月22日 20時) (レス) id: 704b4d5265 (このIDを非表示/違反報告)
NikaRays - 好きです。文才分けてください。そして大好きです。全員の魅力を最大限に引き出している。天才ですね、好きです (2022年7月21日 13時) (レス) id: 6125a03033 (このIDを非表示/違反報告)
奥山乃愛(プロフ) - おーいgrさん？cn絶対許さへんで？私も許さへんけど…… (2022年5月23日 5時) (レス) @page50 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
柊 - ｸﾞｱｯついに言った、言ったぞ!!やっべぇ心臓が発作おこしちまうぜ。(テスト明けと大会二日連続で眠くて頭おかしいです。) (2022年5月22日 22時) (レス) @page50 id: 98cd497361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レッドウルフ
| 作成日時：2021年11月26日 22時
