青い空の下、キミが笑えますように。【短編集】

敵わない。 ページ46

紫side。


「…はよ。」

なんとも愛想のない感じに部屋に入ってきたのは、なべ。

「あー、今日ダメそう？」

なべは、低気圧の影響を受けやすいタイプで…

昨日から降り続く雨がしんどい様子。

元々、あんまり身体が強いほうじゃないみたいで、しんどそうな様子はよく見る。

「…あたまいたｯ……」

ソファにゆっくり横になるなべ。

まだみんな来ないから、電気を消して着てた上着をかけてあげる。

「しんどいな。吐きそうになったら教えてね。」

頭痛から吐いちゃう時もあるから、なるべく刺激はしないように背中をさすってあげる。

少し休めばよくなるといいんだけどな…


「おは…今日ダメそう？」

さすがは幼馴染だね。

入ってきて早々に、なべの様子を察した舘さん。

舘さんの効果ってすごくて、さっきまでずっとうんうん唸ってたなべの呼吸が少し緩やかになった気がする。

「俺、ブランケット借りてくる。」

舘さんがそう言って静かに、部屋を出ていく。


「…ふっかｯ……あたまがんがんする…」

身体を起こしたいって言うから、ゆっくり起こしてあげて、俺に寄りかかれるようにする。

「ん。こっちおいで。」

ぐったりと寄りかかってくるなべは、顔色が悪くて真っ青。

「…きもちわるｯ……」

「吐きそう？」

呼吸が浅くなって、一生懸命吐かないようにしてるのがわかる。


「…んｯ……」

予め用意してた袋を手に持たせてあげると、少し安心したみたい。

「あ、ダメそうだね。」

厚手のブランケットを手に持った舘さんが帰ってきた。

「さっき佐久間達に会ったから、先スタジオって言っといた。」

やっぱり舘さん気が利くわ。

「ありがと。なべ、しんどそう。」

舘さんがなべにそっとブランケットをかけてくれた。


「気持ち悪いね。背中をさすろうか？」

吐き気は助長されるけど、むしろここまで来ると吐いてしまった方がいい気がする。

俺の胸にぐったり寄りかかるなべの背中をさすってあげると、

やっぱり限界だったのか、吐いちゃった。

「しんどいね…だいじょーぶだいじょーぶ。」

舘さんも、いつの間にか袋を持つのを代わっててくれたみたいで、

ゲボゲボ吐いちゃってるなべも少し落ち着いた様子。


「…ごめｯ……はいちゃった…」

「しんどかったんだから、気にしないよ？ね。」

お口ゆすがせてあげると、なべが俺の胸にぐりぐり頭を寄せてきた。

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