青い空の下、キミが笑えますように。【短編集】

心の処方箋。 ページ39

青side。





俺は緊張するとすぐお腹にくるタイプだった。


小さい頃からずっとそうで、大人になっても治らないその弱みをずっと隠し続けていた。


というより、解決策があったんだ。


でも、やっぱり素直じゃない俺は強がっちゃって、下ったお腹を抱えて何度も御手洗に駆け込んでいた。


…おなかいたい…しんどい


でも所詮はただの強がりで、結局優しさに縋るんだ。


「…涼太。」

「翔太？どした？」


「…おなか、げんかい。」


恥ずかしいけど、それは涼太がそばにいる事で解決されていた。




「大丈夫だよ、おいで。」

膝を借りて、横になれば、優しくお腹を撫でてくれる。



「だいじょーぶ。今日は俺もみんなもいるからね。1人じゃないよ。」


お腹を撫でてくれる手と魔法の言葉にいつも助けられている。


本当はお腹が痛い時はすぐこうしてもらえばいいものの、俺のちっぽけなプライドが邪魔する。


素直になれない俺のことも涼太は全部お見通しでこうしてそばにいるよ、頑張ったねって魔法をかけてくれるんだ。


収録が始まってしまえば、いつもの調子に戻ってお腹も痛くない。

だからいつも収録の直前まで、こうしてもらってるんだ。




ほかのメンバーもきっと気づいてる。

元々お腹が強いタイプじゃない俺だけど、収録前とかは顕著に現れるし、


なんせ、毎回御手洗に駆け込んで涼太にお腹をさすってもらってたら、隠しようがないよな。



俺は涼太の存在を空気だと言ったけど、正しくは酸素。

涼太がいないと、俺はいつも苦しくて収録1つできなくなってしまう。


砂漠のど真ん中に1人置いてこられたみたいに、進むべき道もどうしたらいいのかも分からない。




色々考えたら、またおなかいたくなってきた…



「翔太。」


そっと涼太の顔を見上げると、




「だいじょーぶ。俺居なくなったりしないから、怖がるなよ。これからもずっと一緒だよ。」


だから力抜きなって言われて、初めて自分の手が涼太の服を握ってたことに気付いた。





やっぱかなわねーな。涼太には。




「…ありがと」



素直じゃない口は小さなお礼しか言えなかったけど、涼太にはきっと届いてる。







いつも助けてくれてありがとう。








涼太は俺の心の処方箋。

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