【A3!】卯木千景の女友達 ２

男の娘 ページ18

『(なんで私が…)』

休日、母に頼まれて買い物中

＿これも仕事の一つよ！＿

という言葉に惑わされてわざわざ隣町にまで来た私。

買いに行くものが、花柄の布地と裁縫セットって…

わざわざ遠い所から来て娘にそれを頼むのはどうなのだろう…

『まぁいいや。買ったら激辛料理店回ろ』

千景情報で新しいお店できたって聞いたし…！

『(千景はサラリーマンより、情報局とかのほうが似合いそう…)』

…似合うとは思うけど、まず千景がそんなことしてたら私笑っちゃうかも…

得意の猫かぶりで女の人の心鷲掴みだろうな

『(茅ヶ崎も声キレイだし、劇団入ってるからハキハキ喋って似合いそう)』

…うん、似合う

『ていうか、お母さんが贔屓してるお店どこ』

この街って言うのは聞いてるけど

『…店の名前聞くの忘れた…適当でいっか』

あ、生地屋さん近くにある。ここでいいかな



『うわぁ、レトロ感ある店』

種類も豊富だ…

『(…この赤色の綺麗…)』

赤色で、色とりどりの花柄がついてて綺麗

『これでいっか』

「ねぇ」

『ん？…あれ、君は…』

「その布、どこにあったの？」

『この奥だよ。君、瑠璃川くん…だよね？』

「アンタ、あのインチキエリートの先輩か。ね、ちょっと付き合ってよ」

『え？』

「だめ？」

『いいよ。どうせ私暇だから…』

だめだ…可愛い

上目遣いはだめ…

『(そこら辺の女の子より女の子っぽいなぁ…)』

男の子には見えない

「あんた、裁縫するの？」

『私じゃなくて、お母さんがね。着物作るの得意で好きなんだ』

「ふーん？」

『瑠璃川くんは作れるの？』

「まぁね。だってオレがあいつらの衣装作ってるから」

『(マジか…すごいな。こんなに幼いのにあそこまでのクオリティを出せるなんて…)』

「アンタはこのあとどっか行くの？」

『んー…生地買ったし…特にはないかな』

「ねぇ、アンタは、さ…」

『ん？』

「俺の格好、気持ち悪いって思う？」

目に心配と恐怖の色が混じってる…

きっと、この子には嫌なことがあるんだろう

『思わないよ。だって、それって瑠璃川くんの個性でしょ？人の格好にどうこういう気はないよ。』

「！…そう」

『それに、私はその格好可愛くていいと思うけどな。』

「…ありがと」

『どういたしまして。この近くに可愛いカフェあるんだけど…行く？』

「！…行く！」

ほら、安心した色に変わった。

こういう子は、笑顔が一番だ

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