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『え・・・』





何が起こったのか


全く理解できなかった





拓朗は水を差し出す私の腕を引っ張り


ソファに体を押し付けた





水が、ごとっと音を立てて床に落ちる


ペットボトルのまま渡してよかった


そんなことを思っている場合ではなかった





「その歳になってもまだ


酔った男を家に上げるってことの意味が


分からない?」





私の両腕を押さえつけ


真剣なまなざしで私を見つめる





「それとも、幼馴染だから何もしないと思った?


俺も男なんだけど」




驚いた


拓朗は、私のことなんて


幼馴染どころか


子どもにしか思っていないと感じていた





酔いのせいなのかもしれないと思えば


そうなのかもしれないけど


拓朗の目は、いつにもまして本気だった






「そんなんやから・・・


山本にキスされたり、伊沢さんに抱きしめられたりするんだよ」



『!・・・見とったん?』



「ほんまはずっと起きとった」





拓朗は悲しそうに、苦しそうに


言葉を綴った





確かに私は


危機感がなさすぎるのかもしれない


隙だらけなくせに


自分はなにもすることができない


このままでは、いつか罰が当たるだろう





『心配、してくれたんや


私がいつか、痛い目に合うのを心配して


自分が悪役になろうとしてるんやろ?』





拓朗は心底驚いた顔をして


ため息をついた後


私から離れて、ソファに座りなおした





「Aには適わないな」





拓朗の気持ちは分からない


いや、今はまだ分かりたくないだけなのかもしれない


今は


何も知らないまま


このまま、幼馴染でいたい





そんな私の考えも知らないまま


拓朗は私の頭を撫でた


その顔はひどく儚い





「ごめんな、困らせて」



『謝らんといて』





謝らなきゃいけないのは


きっと私だから


でも今はまだ


恋愛なんて分からないから


何も聞かずにこのままでいさせて


何も知らないふりをさせてください





「今日は泊ってってもいい?」



『・・・


いいよ』





私は悪い女だ


今の関係が崩れてしまうのを恐れて


何かが変わってしまうのが怖くて


幼馴染という言葉に逃げている


拓朗を傷つけている

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作品ジャンル:恋愛
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Lily(プロフ) - 泡姫さん» ありがとうございます!何度もコメントしてくださり、最後まで読んでくださって本当に嬉しかったです!本当にありがとうございました! (2019年1月18日 21時) (レス) id: 75dd804998 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫 - もう本当素敵すぎます!ありがとうございます。 (2019年1月17日 22時) (レス) id: c29d185bf6 (このIDを非表示/違反報告)
燐音(プロフ) - 泡姫さん» またコメントありがとうございます!川上さん人気ですね、参考になります!ありがとうございます!! (2019年1月17日 7時) (レス) id: ce053a5c30 (このIDを非表示/違反報告)
燐音(プロフ) - kinsakiさん» コメントありがとうございます!なるほど、参考になります!ありがとうございます!! (2019年1月17日 7時) (レス) id: ce053a5c30 (このIDを非表示/違反報告)
泡姫 - 私も川上さん落ちがいいです! (2019年1月16日 22時) (レス) id: c29d185bf6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:燐音 | 作成日時:2019年1月10日 1時

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