眠り姫

桃：お見舞い ページ20

＜小瀧side＞


Aのいない生放送の日。



ファンにこれ以上心配をかける訳にはいかないため
Aは事務所を通して病気を公表した。





神山｢今日、生放送前に病院行って来たんですけど
だいぶ症状も落ち着いてて元気そうでした！

出られへん代わりに僕、ネイルを塗ってもらって来まして笑｣



放送中は神ちゃんの話を中心に
Aが元気であることを強調する。



重岡｢今日の放送は僕ら7人でお届けするんですけど、
Aにも元気届けられるような
熱いパフォーマンスにしたいと思います！｣




今まで以上に絆の深まった俺ら。



しげの宣言通り、最高を更新できた気がした。















A｢生放送！最高やったよ！！｣



病室を開けるなり興奮気味のA。

昨日のパフォーマンスはしっかりと届いていたらしい。



｢やろ？はよ一緒にやりたいな｣

A｢私も。
昨日の放送見てたらじっとしてられなくてさ、
今日からリハビリ始めるんだけど、手伝ってくれる？｣

｢当たり前やん、いくらでも付き合うで｣





嬉しそうに一歩一歩リハビリ室へと向かう。


元気そうに見えるが、
この3週間まともに運動していないAの体力は
著しく低下していた。





｢ゆっくりな？無理せんでええから｣

A｢うん…ちょっと休憩…｣



軽い有酸素運動だけで息が切れてしまうA。





休憩しようとランニングマシンから降りた瞬間、

崩れ落ちるように眠ってしまった。







咄嗟に抱きかかえるこの感覚。



あの日と同じだ。







またパニックを起こすかもしれない
俺1人じゃ何もできない

と、不安になりそうな自分を落ち着かせ、
Aを膝の上に寝かせる。





大丈夫。

幸いここは病院だし、俺らはあの日から一緒に戦ってきた。


Aを支えると誓った今の俺には、覚悟がある。





子供を寝かしつけるように背中を叩きながら、
優しく声をかける。



すごいなぁ頑張ってるなぁ

こんな細くて小さな体で俺らと同じライブやってたんやな
早く体力戻して一緒にまた歌いたいな

今の俺らにAが加わったら。

乗り越えられへんことなんかないで？





しばらくして、Aの目が開いた。



A｢あれ、もしかして寝てた？どのくらい？｣

｢1時間くらいかな…大丈夫？｣

A｢うん。なんかすごく安心してた｣



よかった。今度は役に立てたみたいだ。




まだまだ万全ではないけれど

少しずつ進んで行こうな？



俺ららしく。

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