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河村side



「藝大入試に挑戦、ねぇ。」

「いいんじゃない?教えて貰えんでしょ?」



会議で福良から提案されたこの企画。

まぁ、僕としてもアリだとは思うんだけれど。



「教わるって言ったって、誰に教えて貰うのかとかはもう目処が立ってるの?」



そう福良に訊ねると、



「うん。あ、そうだそれこそ!」



と言って何やら面白そうな表情を浮かべる。



「最初はうちのライターにいる藝大の子に頼んだんだけど、なんかあんまりそういうの得意じゃないからって断られちゃって。」

「え、じゃあダメじゃん。」

「でも、その代わりにこないだ記事手伝ってくれた後輩紹介させてくれませんか?って言われてさ。っていう事で、例の河村の幼なじみちゃんに教えて貰えることになりました〜!」

と小さく拍手をしながら言う福良にへぇ〜!と感心している伊沢一方、少し困惑する。

そんな話は聞いていないぞ。

…いや、そういえばさっきAから「時間ある時連絡下さい!なんかヤバいかも!うんヤバい!ごめん!」という彼女にしては珍しく語彙力の低いメッセージが届いていた。

この話の事だったのか。



「あれ、もしかして河村さんも知らなかった感じ?」

「いや、連絡は来てたけど、ヤバい事しか伝わってなかった。後で問い詰めておきます。」

「問い詰めるって。」



と苦笑いしながら言う福良。



「え、じゃあその子にオフィスに来てもらって教わりつつやるみたいな感じ?」

「そういう事。まぁ、河村の幼なじみって事だし大丈夫でしょって思ってOKしちゃったけど良いよね?」

「おん。全然良いと思う。え、大丈夫な子だよね?」



と視線を送ってくる2人に、



「うん、大丈夫。ちゃんとしてる子だから。」



と答える。



「ちなみにどんな子なの?」

「うーん、基本的には真面目な子だね。話とかは結構上手いほう。中学までは勉強も結構しっかりやってて、あとクイズとかも好きで知識もかなりある。別にやってた訳じゃないけどね。」

そう言うと、



「なるほどねぇ。」



と何か考え込むように相槌を打つ伊沢。

…今は追及しないでおこう。

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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時

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