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山本side
『…河村さんって、綺麗な顔してますよね。』
撮影の合間、Aちゃんが突然こんな事を言い出した。
年が明けてから初の収録日。
Aちゃんは本来参加する予定ではなかったが、試験前の息抜き、なんて言って他の社員の人に誘われてオフィスに遊びに来たそうで、急遽サブチャンに出てもらう事になったのだ。
それにしても。
「どうしたのいきなり。」
『いや、こないだ久しぶりに至近距離でしっかり顔見たんですけど、整ってるなぁって思って。』
もちろん山本さんもとても綺麗なお顔立ちですけど、なんて謎のフォローを入れられるが、それ以前に話題が突然すぎてどんな返事をするのが正しいのかわからない。
「河村さんとなんかあったの?」
『何にもないですよ。』
「そっかぁ。」
本当に謎だ。
試験前だから色々疲れてるのかな。
『っていうか、河村さんこそなんかあったんですかね。山本さんなんか聞いてます?』
「え、知らない知らない。てか僕より絶対Aちゃんの方がそういう事は分かるでしょ。」
『そうですよねぇ。』
なんて言いながらAちゃんは難しい顔で何か考え始めてしまった。
「Aちゃんは何か気になる事があるんだ?」
と、黙り込んでしまった彼女に尋ねてみれば、
『まぁ、はい。最近なーんか違和感があって。でも気のせいかもしれないし。』
そう言って苦笑いするAちゃんに、ある事を思い出す。
「あ、そういえばこの前朝それの収録の時にね。」
と、その時気になっていたAちゃんの話題になった時の河村さんの様子の事を話してみた。
「まぁこれがAちゃんが気にしてる事と関係あるかは分かんないけど。」
僕はAちゃんほど河村さんのことよく知らないから、と笑えば、笑い返される。
『いえいえ、こちらこそ急に変なこと言ってすみません。』
「全然大丈夫だよ。僕ももっとAちゃんと仲良くなりたいし、何でも話してよ。」
正直、自分がQuizKnockの中ではかなりAちゃんと話している方である自信はあるが、河村さんと話す彼女を見ているとやっぱりまだまだ仲が良いとは言えない。
もっと心を開いて欲しいという願いも込めつつそう言えば、
『ありがとうございます。』
と丁寧に頭を下げられた。
仲良しまで、まだまだ道のりは長そうだ。
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時