epi.4 日常 ページ5
Your side
ピンポーン、と自宅のインターホンが鳴り、返事をする前に扉が開く。
「お邪魔するよ。」
『あ、もう来たんだ。』
「ちゃんと戸締りしなさいよ。世の中物騒なんだから。」
なんて小言を言いながら入ってきたのは河村拓哉。
私がQuizKnockの記事に出るかもしれない事を、一応メッセージで報告したところ、仕事終わりにわざわざ電話をくれたので、せっかくならと自宅に呼んだのだ。
「適当にあなたが欲しそうな物は買ってきたよ。」
『やった。なんか食べる?適当に作るね。』
と言いながら、買ってきてくれたものを受け取り、キッチンに入ると、
「ん、ありがと。」
と言って、テーブルの前にある小さなソファの右側に座った。
彼が家に来るのは初めてのことでは無い。
小さい時からよく一緒に遊んでいていた名残で、一人暮らしを初めてからもお互いの家を度々訪れては、近況報告などをしていた。
「それにしても、面白いことが起こるもんだね。」
『んねぇ。私たぁ兄の話とか全然したこと無かったのに。』
「たぁ兄ね。」
なんて言って笑う彼。
この、たぁ兄という呼び方も正直めちゃくちゃ恥ずかしいのだが、物心着いた頃にはもうこの呼び方だったし、5学年違うと学校などで会うこともなかったため、何となく改める機会が無いまま今まで来てしまったのだ。
『一応知り合いがQuizKnockに関わってるってだけ言ってあるけど、たぁ兄の名前は伏せてあるからよろしく。』
「ん、了解。別にライターなら名前出してくれても良かったのに。」
『まぁ、私も隠したい訳じゃないんだけどさ。知らんとこで変に広まるのは避けたいから。』
「まぁね。」
なんて、お酒をちびちび飲みながら適当なおかずをつまんだ。
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時