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『お疲れ様です〜!』
「あー!Aちゃん、お疲れー!」
オフィスに着けば、いつもの動画メンバーに加え普段あまり見かけないライターの方もちらほらいる。
「おぉ、これが噂の。」
と、声が聞こえた気がして辺りをくるりと見回せば、初めましての方が。
でも私は彼のことを一方的によく知っている。
『田村さん、ですよね?』
「あ、知っててくれたんだ。初めまして。」
『こちらこそ初めまして。高校生クイズの時から見てます。まさか今日お会いできるとは…!』
「さっさと帰るつもりだったけど、顔出して良かったな。」
そう言って笑う田村さん。
うん、相変わらずイケメンでらっしゃる。
田村さんが高校生クイズを沸かせていた当時、私はまだ小学生。
だがその頃既にクイズに興味を持ち出していた私にとって、彼は文字通り憧れの人なのだ。
『私こそ、今日は来る予定じゃなかったんですけど来て良かったです。サンタさんありがとう…』
「それにしてはちょい早だね。」
と、福良さんにツッコまれる。
でも、やっぱり嬉しいもんは嬉しいし、そもそも田村さんが私の事を知ってくれていたという事実がもうヤバい。
興奮を全力で隠しながら田村さんとお話ししていると、奥から須貝さんが声をかけてきた。
「あー!Aちゃん来てる!ちょっとこっち助けて貰って良い?」
『はい!わかりました!…すみません田村さん、本当はもっとお話ししたいんですけれど。』
「いいよいいよ。僕も元々もう帰る予定だったから。またいつか機会があればゆっくり。」
『すみません!失礼します。須貝さん何ですかー?』
田村さんとの夢のようなひとときを終え須貝さんの元へ行けば、そこには須貝さんと食材の数々が。
『これは…?』
「鍋にでもするかと思ってとりあえず食材は揃えて、さて作るかと思ったところでAちゃん来たから。」
『私が作るんですか?』
確かに目の前に並ぶのはお鍋にぴったりな物ばかりだが。
「Aちゃん料理得意って聞いてたからさ。いや、大変だったら無理しなくて良いんだけど!」
と、フォローを入れて下さる。
『いえ、大変とかじゃないですけど、こんな人数分作るの初めてなんで…、手伝って貰っても良いですか?』
「そりゃもちろん!」
全力の笑顔で頷いてくれる須貝さん。
さて、何を作りましょうかね。
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時