【QK】I need…【kwmr】 (ページ38)

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河村side

多くのライターが一堂に会し、今年を振り返って雑談している。

今日は朝それの収録日。

中には久しぶりに会う奴らもいる様で、それぞれが話に花を咲かせている。

が、それも次第に全員に広がっていって。

｢どうでした？今年。なんか面白い事ありました？｣

という山本の問いかけに対して話題に上がったのは、Aの事だった。

みんな彼女の事を高く評価してくれている様だが、僕としては少し微妙な気分だ。

確かに彼女はこの数ヶ月ですっかりQuizKnockに馴染んだ。

クイズプレイヤーとしても着々と腕を上げているし、メンバーとも随分打ち解けている様子だ。

けれど、僕からしたらまだまだQuizKnockでの彼女はよそ行きの姿なのだ。

きちんとしてるし、礼儀正しいし、なんて言う彼らに、いやいやあいつは結構大雑把な所あるよ、とか、礼儀正しい子は人の家の冷蔵庫勝手に開けないのよ、とか、ついつい口を挟みたくなってしまう。

彼女が評価される事自体は嬉しいのだが。

…あぁ、これが世に言う"応援してたマイナーバンドが売れるとなんかモヤモヤする"ってやつか。

そんな事を考えていれば、伊沢と福良によってAがバイトに入る時のエピソードをバラされ、いつの間にか話題の中心は僕とAの関係になっていて。

｢へぇー、その割には結構普段はドライよね。｣

オフィスでも必要以上に絡んでる様子ないし、と言う須貝さんに、確かになぁと思う。

｢まぁ別にわざわざオフィスで話す事もないからね。話したいなら家行くし。｣

｢え？そんなに仲良いの？｣

思ったままのことを言えば、多くのメンバーが驚く。

｢そんなに驚かなくたっていいじゃない。｣

｢いやぁ、いくら幼馴染とはいえそこまでとは思ってなかったから。そうなんだ。｣

｢幼馴染ってよりは兄妹って感じだからなぁ。｣

Aの事は生まれた時から知ってるしね、と言えば、いいなぁーなんてよく分からない感想を言う彼らは、仕事仲間というよりもはや彼女のファンだ。

でもそういう事なら僕は負けんぞ。

｢まぁ、いつもあの子と仲良くしてくれてありがとうね。｣

と言えば、保護者かよ、とツッコミが入る。

いえいえ、ただの最古参ですよ。