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epi.36 心境 ページ37

山本side



QuizKnock年末の風物詩といえば、朝それの撮影である。

東大生、僕の場合は東大(王に出ていた早稲田)生として、お題に合った答えを出していく、もはやQuizKnockの代表作の一つと言っても過言ではないシリーズだ。

このシリーズは結構僕の答えがハマることが多く、個人的にも好きな企画のひとつである。



「いやー、今年も朝それの季節だねぇ!」



こんな大人数での撮影なんて中々ないので、どうしてもテンションが上がってしまう。



「どうでした?今年。なんか面白い事ありました?」



と周りのライター達に話を振れば、やはり出てくるのは彼女の話題で。



「やっぱりAちゃんじゃない?」

「まぁ今年の話題って言ったらAちゃんだねぇ。」



新メンバーが女子ってのはインパクト強いからなぁ、なんてみんなが話す中、



「あ、それ知らない子の話だ。」



と言った田村さんに、伊沢さんが彼女の事を説明する。



「へー、そんな事があったとは。」

「あの子じゃなかったらこんなに歓迎されなかったかもね。」

「いや、Aちゃんじゃなかったらそもそも俺スカウトしてないのよ。」



なんて伊沢さんが笑顔で言う横で、少し渋い顔をしている河村さんに少し違和感を覚える。



「河村さんの幼馴染なんですよね?河村さん的にはどうなんですか?」



が、話を振られるとすぐに表情はいつも通りに戻り、



「ん?良かったと思ってるよ。QuizKnockとしても彼女としても、良い方向に動いてると思うしね。」



と、淡々と意見を述べていた。

なんだろう、考え過ぎかな。



「河村、Aちゃんの事すごい心配してたもんね。」

「うわぁ、やめてよ恥ずかしいから。」

「え、なになにその話俺知らない。」



と福良さんの話に食いついた須貝さんが話を掘り下げる。



「いやぁ、Aちゃんがうちに入るってなった時に実は河村から頭下げられてさぁ。」

「ね!あんな真剣な河村さん見たの久しぶりだったもん。」



マジだったもんね、とニヤニヤ話す伊沢さんと福良さんを、河村さんが勘弁してくれと言わんばかりの表情で睨んでいる。

でも少し迷惑そうな表情をしている様に見えて、なんだか楽しそうな様子の河村さんに、やっぱり不思議な人だなぁと思うのだった。

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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時

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