28 ページ29
Your side
大学にて。
「あ!Aちゃん!」
と、突然どこかから声がかかる。
あたりを見回せば、少し久々に見かける顔が。
『先輩!どうされたんですか?』
「どうされたって、動画のことに決まってるじゃん!見たよ〜。めっちゃよかった!」
『あぁ、ありがとうございます。』
先日ついに投稿された藝大入試動画は、普段はライター活動しかしていない先輩も動画内の専門用語に関する字幕などのチェックのために少し関わっていた。
そのせいか、やはり形になると感慨深いものがあるようだ。
「それにしても、あの中にいてよくあれだけ堂々とできるよね。私だったら絶対カミカミのオドオドだよ。」
と、妙に真剣な顔で言う先輩に、思わず吹き出してしまう。
「Aちゃんにのキャラも視聴者さんに刺さってたし、あー、なんか私まで嬉しくなっちゃった。」
そう言う先輩に、あぁ、確かにコメントで[伊沢河村のボケラッシュ1人捌いてるの、面白い通り越して尊敬する]なんて言われていたなぁ…
と、そこである事を思い出す。
『あ、そうだ先輩。実は少しご報告があって。今お時間ありますか?』
「いいよ!いつものカフェでいい?」
・・・
「え?!バイト?!」
『そうなんです。』
QuizKnockに紹介してくれたのは先輩な訳だし、一応バイトで入る事になった経緯を、耳の話は伏せつつ、かくかくしかじかお話しする。
「へぇ、じゃあいずれは入社するつもりなんだ。」
『そうなりますね。』
「ふーん、なんか意外!」
『そうですか?』
QuizKnockっぽいって言ったの先輩じゃないですか、と言えば、そうなんだけどさぁ、と少し拗ねたような顔になる。
「Aちゃんってなんか、ずっと音楽に命かけてくんだろうなって思ってたから。」
と少し笑いながら言われ、確かに耳の事が無ければあり得なかったし、不思議な話だよなぁ、なんて思う。
『でも、QuizKnockに私がいる事で、普段音楽にあんまり興味がない人とかにも、少しでも興味持ってもらって、音楽ってものに触れてもらえるチャンスが産まれたらって思ってるんです。』
ほら、須貝さんの超電導みたいに、と言えば納得してくれたようだ。
「まぁ、なんかあったら私の事も頼ってね!手伝ってもらってばっかだったからお返しもしたいし。」
またいつでも声かけてね!と言って下さった先輩にお礼を言って別れる。
午後の講義に遅れないように戻らなければ。
162人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時