epi.26 初バイト ページ27
Your side
両親への報告も無事に済ませ、ようやく迎えた9月。
QuizKnockは私にとって人生初のバイトである。
一度行ったことのある場所で、顔見知りも何人かいるとはいえ、やはり緊張はするものだ。
約束の10分前にオフィスに着くと、既に福良さんが待ち構えており、案内されるがままに色々な人に挨拶をしていく。
中にはこの間の撮影に関わっていた方なんかもいたりして、だいぶ緊張もほぐれてきていたのだが。
「あ、ちょっとそこの2人今大丈夫?新しい子紹介したいんだけど。」
と、福良さんが声をかけた相手に、心拍数が上がる。
『初めまして、本日からお世話になります、AAと申します。よろしくお願いします。』
「あ!初めまして!山本です〜。」
「ナイスガイの須貝です!噂は色々聞いてるよー。」
うわぁ、いつも画面越しに見てた人たちだ…
お2人から溢れるキラキラオーラで、なんだか物理的にも周囲が明るくなった様に錯覚する。
「こうちゃんとかもすげえ会いたがってたんけど今日は来る日じゃなくてさ。」
「めちゃめちゃ駄々捏ねてたもんね。ずる!とか言って。」
その様子を思い出したのか、半分笑いながら山本さんが言う。
私にとってQuizKnockは、たぁ兄の事こそ昔から知っているものの、他のメンバーの方に関しては一般のファンの方と同じ様に画面越しの存在でしかなく、いわば芸能人の様なものだ。
そんな2人のやりとりが目の前で繰り広げられている事に、少し興奮さえしてしまう。
私、この人達と一緒に働くのか。
全然実感が湧かないぞ。
「まぁ、俺らも仲良くなりたいと思ってるから気軽に話しかけてよ。」
最初は分かんない事も多いだろうしね、と須貝さんが言うと、福良さんも、
「山森とかみたいに女子もいるし、なんかあったら誰にでも声かけてね。」
と言って下さる。
なんてお優しい方々なんでしょう。
『ありがとうございます。頼りにさせてもらいます。』
「まぁ、今日は初日だから色んな物の場所とか設備とかを一通り把握してもらうのと、あとこれからどんな事をしてもらいたいかの説明が出来ればいいかなって思ってます。」
大丈夫そ?と首を傾げてこちらに尋ねてくる福良さんに、
『はい。よろしくお願いします。』
と返事をして頷く。
さて、いっちょ気合い入れていきますか!
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時